08/07/28 OA
大ピンチ!!南の島の珍獣 ワオキツネザル
アフリカ大陸の南東沖に位置する<マダガスカル共和国>。
自然豊かなこの島に生息する「ワオキツネザル」は、
住みかを追われ、餌不足により、絶滅危惧種に指定されている。
白と黒の長い尾っぽが特徴のワオキツネザルは、
その名の由来も、輪模様のこの尾っぽからきているのだ。
ワオキツネザルの群れは、メスが仕切る女性優位の社会で、
オスはメスに餌をとられても、抵抗するなんて、もっての外。
群れのボス<フルムーン>も、メスのワオキツネザルだ。
この群れに一年で最も大切な時期が訪れた。
それは5月の恋の季節で、オスたちはメスをめぐり熾烈な戦いとなる。
なぜならワオキツネザルのメスは、なんと、
1年のうち、わずか十数時間しか発情しないのだ。
オスは発情したメスを見つけると、尻尾を高く揚げて前後に振る動作をする。
ワオキツネザルの腕には性ホルモンを分泌させる腺があり、
そこから出る匂いを尻尾にこすり付ける。
その尻尾の匂いを振りまいて、メスを誘惑する。
気が合えば、めでたく交尾へと事が進むのだ。
5ヶ月後、長雨により、果実の出来が悪く、餌の限界が近づいていた。
そこでフルムーンは、縄張りを捨て、豊富な餌を求める旅を選んだ。
生まれたばかりの子ども達を連れ、群れの大移動が始まった。
フルムーン達は小さな果実をつけた木を見つけ、わずかに残る実を、
これまでの空腹を満たすがごとく、夢中で食べる。
だが、ここは別のワオキツネザルの縄張りだった。
縄張りの主達はフルムーン達に一斉攻撃を仕掛けてきた。
噛み付き、引っかき、凄まじい攻撃と激しい戦いに、
怯えてしがみ付くのに精一杯の子供たち。
だが、空腹で衰弱しているフルムーンたちに勝ち目はない。
いっせいに逃げ出す一行。
すると、あわただしく逃げる群れから遅れている1頭のメスが・・・
なんと先ほどの戦いに巻き込まれ、子どもが深手を負ってしまったのだ。
母親は、弱々しく動く我が子を抱きしめ、
ゆっくりと力尽き動かなくなった子供から、離れようとしない・・・
群れからどんどん離れる母親。
ワオキツネザルにとって、群れからはぐれることは死を意味する・・・
だが数分後、ついに母親は子供を置いていく決心をし、
そっと木陰に移すと、別れを告げて群れを追った。
数日後、フルムーン達は森を抜け、見知らぬ土地に辿り着いていた。
そして広陵とした大地を抜けると、そこには、緑豊かな大地が広がっていたのだ。
瑞々しいソテツの葉や水分たっぷりのアガベの芽が生い茂る楽園。
苦境を乗り越え、フルムーンたちはついに新しい縄張りを見つけたのだった。