世界まる見え!テレビ特捜部
08/09/22 OA
カメルーン決死の高山マラソン

日本の最高峰、富士山。その高さ、3776m。
だが世界には、富士山よりも高い山を走るマラソンレースが存在する。
それが、アフリカ・カメルーン共和国で行われる、カメルーン山マラソン。
高さ4095mのカメルーン山を一気に駆け上がり、頂上で折り返して駆け下りる。
距離は、フルマラソンとほぼ同じ42キロ。
およそ半数の選手が完走できずに脱落する、超過酷なレースなのである。
だが、そんなこのレースで、これまで7回もの優勝を飾った女性ランナーがいた。
カメルーン山のふもとの街ブエアに住む、サラ・エトンゲ(37歳)。
「山の女王」と呼ばれるサラは、7人の子供を持つ母親で
大会の賞金によって家計を支えていた。
そう、レースの優勝者には、カメルーンの平均年収のおよそ7年分という、
破格の賞金が与えられるのである。



だが、そんなサラを脅かすライバルが現れた。
それが、キャサリン・グワング(26歳)。
名門陸上クラブでトレーニングを積み、この6年間で3度の優勝。
次の女王を狙う、新進気鋭のランナーである。



カメルーン山マラソンは、「成人男子の部」「成人女子の部」
「20歳以下の青年の部」の3部に分かれて行われる。
そして、青年の部の注目選手が、ピエロ(17歳)。
彼はなんと、山の女王サラの息子。小さい頃から、母が走るのをずっと見ていて、
自分も、母のようになりたいと思ったのである。
一方、全くの無名ながら、青年の部の優勝を狙っているのが、
マックス・ムワンボ(17歳)。
彼の父親ジョンは、第一回大会の優勝者。
だが、今は世間から忘れ去られ、ひっそりと暮らしている。
そんな父の無念を晴らすべく、自分が変わりに走ろうと決意したという。



だが、大会の日が迫ったある日、山の女王サラにアクシデントが。
練習中に転倒して、両膝を痛めてしまったのだ。果たして、大会までに治るのか?



大会当日、およそ400名の選手が集まり、レースがスタート。
山の女王サラの若きライバル、キャサリンは快調な出だし、女子の第2位に。
だが一方、サラは遅れている。まだヒザのケガが完治していないのか・・・



そしてレースの舞台は、山へ。
成人男子の上位選手たちが、次々と斜面を駆け上っていく。
と、そこへ、サラの息子ピエロが現れた。彼は現在、青年の部のトップ。
一方、初代チャンピオンの息子、マックスは2位集団に。
続いて山に入ってきたのは、キャサリン。
遅れてサラが現れるが、体をくの字に曲げ、実に苦しそう。
そしてレースが、山の急斜面へと差し掛かると
選手たちは道なき道を一歩一歩登っていくのがやっと。
だが、サラがここにきて、ペースを上げ始めていた。さすがは山の女王。
ひざの痛みをこらえ、どんどん登っていく。
そして、ついにライバルキャサリンをとらえ、一気に2位に浮上!



しかし、本当にきついのはここから。
この日、山頂付近は霧に覆われ、強風が吹き付ける最悪の天候。
急激な気温の変化が選手たちの体温とスタミナを、容赦なく奪っていく。
高山病で、意識が朦朧としてしまう選手や、下りの急斜面に足が付いていかず、
座り込んでしまう選手もいる。
そんな中、先に山頂に現れたのはキャサリンだった。
彼女は再びサラを抜き返していたのである。
続いて、サラが到着。苦悶の表情を浮かべながらも、あきらめずに折り返していく。



こうしてレースは、下りへ。ここで急激に増えるのが負傷者。
疲れ果てた選手たちが、下り斜面に足を取られ転倒するのだ。
そして、そんな難所をサラが下りきった、その時、彼女のうしろについて
観客たちが走り始めたのである。サラを最後まで見届けようというのだ。



こうして勝負は、街中へ。
すると、キャサリンにアクシデントが。何と、シューズが壊れてしまったのだ。
それでも彼女は裸足のまま、スパートをかける。
と、その後ろに、大勢の観客を引き連れて走る、サラの姿が!
果たして、キャサリンを、追い抜くことは出来るのか・・・



そして・・・結果は、キャサリンがそのままゴール。3位となった。
一際大きな声援を浴びてゴールへと向かったサラだったが、4位に。
一方、青年の部は、サラの息子ピエロが3位入賞、
初代チャンピオンの息子マックスは、9位と言う結果となった。



世界に類を見ない過酷なレース、カメルーン山マラソン。
今回を最後に、サラは現役を引退した。
だが来年もまた、激しいレースが繰り広げられるに違いない。


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