09/01/19 OA
巨大ゾウガメ 120年の孤独
中学校の国語の教科書に載っている実話、『120年の孤独』。
これは、地球上にたった一頭だけ生き残った、ある『ゾウガメ』の話なのです。
1700年代、インド洋の西部に位置するセーシェル諸島に、
この物語の主人公、一頭の『メスのセーシェルゾウガメ』が、
愛する夫と可愛い子どもと共に、幸せに暮らしていました。
しかしある日、この島に人間がやって来た事で、その平和な生活は崩れ去ります。
実は人間たちは、ゾウガメを船の上で食料にするため捕獲にやって来たのです!
主人公である『メスのセーシェルゾウガメ』も捕まり、
家族と離れ離れにされてしまいました。
彼女はこのまま人間に食べられてしまうのでしょうか?
ところが数年後、セーシェル諸島から約2000キロ離れたモーリシャス島に、
あの『メスのセーシェルゾウガメ』の姿がありました。
彼女はなぜか食料にされず、この島でペットとして飼われていたのです。
そして、人々から『マリオン』と言う名で呼ばれていました。
しかし、マリオンはそんな生活がイヤで仕方ありませんでした。
何度もオリから逃げ出して、家族の待つセーシェル諸島に帰ろうとしました。
でも、動きの遅いゾウガメはアッという間に捕まり、
その度オリに戻されていたのです。
そんなマリオンは、その島で8歳の少女『アンナ』と出会います。
アンナは、大きなゾウガメの『マリオン』に興味を持ち、仲良くなろうとしますが、
人間の手によって夫や子どもと引き離されてしまったマリオンは、
決して心を開こうとはしません。
と、そんな頃。
マリオンの故郷であるセーシェル諸島では、大変な事が起こっていました。
何と人間の乱獲によって、全てのセーシェルゾウガメが《死に絶えて》いたのです!
それを知ったアンナは、たったひとりだけ生き残ったマリオンを、
生まれ故郷のセーシェル諸島に帰してあげたいと思い、
彼女をオリから逃がしてあげることにしました。
そして、マリオンは子どもが待っていると信じ、懸命に逃げたのです。
するとついに、セーシェルへと続く、海岸までたどり着いたマリオン。
ところが、『陸ガメであるマリオン』は、泳ぐ事が出来なかったのです。
マリオンは、子どもや夫の事を思いながら、
どこまでも広がる青い海を、ただ、ジッと見つめる事しか出来ませんでした。
記録によると『セーシェルゾウガメ最後の1頭』となったマリオンは、
故郷から遠く離れたモーリシャス島で120年もの間ペットとして飼われ、
1918年、その生涯を終えたと伝えられています。
そして、マリオンの『120年の孤独』を描いた、このお話は、
《乱獲や自然破壊の無意味さ》を訴えながら、
今も世界中の人々に語り継がれているのです。