09/02/23 OA
スーパードクター 奇跡の回復ストーリー
私たちの体は、様々な器官が休むことなく稼動し、
体がうまく機能するように、それぞれが密接に関連し、重要な役割を果たしている。
しかし時に、大怪我や病気に侵されると
人体が本来持つ能力を発揮出来なくなってしまう。
そんな時、人体の能力を回復させるのが、
最先端医療技術とスーパードクターたちである。
<ジェニー・コーワンのケース>
アメリカ・フロリダ州。
暖炉に火をくべていた父ウィルは、早く火を起こすためにガソリンを入れた。
すると、近くにいた6歳の娘ジェニーの体に燃え移ってしまったのだ。
近くにあった毛布で何とか火を消したものの、
娘ジェニーは全身の殆どに皮膚が剥がれる程の、ひどい火傷。
そこで、隣のアラバマ州バーミンガム小児病院へと搬送されることに。
ここには、ヤケド治療の権威<ウィリアム・ハーディン>医師がいるからだ。
この時のジェニーは、最も重いレベル<3度のヤケド>を
なんと全身の80%に負っていた。
このような重度のヤケドでは、患部から細菌が入り込んで感染症を引き起こし、
命を落とす事もある。その為、一刻も早く、皮膚移植をする必要があった。
しかし、それには問題が。
通常、皮膚移植は、本人のヤケドの負っていない箇所から移植されるが、
ジェニーには、健康な皮膚がほとんど残されていなかった。
しかし、他人の皮膚を移植すると、拒絶反応を起こしてしまう可能性がある。
するとそこに、救いの手が・・・
実は、ジェニーには同じDNAを持つ、一卵性双生児の妹シドニーがいたのだ。
こうして、ウィリアム医師率いる特別チームによって、緊急手術が開始。
まずは、シドニーの頭皮と腰から皮膚を剥離し、
別室にいる姉ジェニーの足、腰、頭に移植。
これで、ヤケドを負った箇所の60%をカバー。
だが、残り20%の皮膚を、これ以上シドニーの皮膚からとるのは無理。
そこで行われたのが、皮膚の培養である。
これは患者本人の皮膚を、ごくわずか採取し、
増殖させた人工培養皮膚を人に移植するという方法。
ウィリアム医師は、残り20%のヤケド部分をこの培養皮膚で補ったのだ。
その後、ジェニーのヤケドの跡は、ほとんど分からないほどまで回復。
ジェニーは、妹シドニーに感謝し、毎日仲良く元気に暮らしている。
<ジェフ・マトヴィックのケース>
ジェフ・マトヴィックの筋肉は正常である。
しかし、ジェフの脳は間違った信号を筋肉に送り続けている為、
彼は筋肉の動きをコントロールすることが出来ない。
このような異常な行動は子供の時に現れた。
そして検査の結果、ジェフは<トゥレット症候群>と診断された。
トゥレット症候群とは、やるつもりがなくても素早くぎこちない動きを繰り返す
「運動チック」。
また、発声において同様の特徴を持つ「音声チック」の症状が見られる神経の病気。
そんな病を抱えたジェフだったが、医学の進歩により、
その症状は、薬で最小限まで抑えることが出来るようになっていた。
だが、2児の母だったデブラと出会い、結婚したころから、
ジェフの症状が悪化、薬で抑える事が出来なくなってしまったのだ。
彼の思考は正常なのだが、トゥレット症候群のチック症状の為に
コミュニケーションがうまくとれなくなってしまったのである。
そこでジェフは、クリーブランド大学病院を訪れ、
神経外科の権威<ロバート・マスーナス>医師の診察を受けた。
すると、マスーナス医師は、前例のない驚くべき手術をすることを決断。
その手術とは、「異常行動の原因と思われる脳に電極を埋め込み、
それを胸の胸壁部分に埋め込んだペースメーカーに繋ぎ、
このペースメーカーから出る信号が、脳からの間違った信号を抑制する」というもの。
実は、この手術を、トゥレット症候群の患者に行った前例はなく、
その結果は未知数だったが、
ジェフは、脳の2箇所に電極を埋める手術を受けたのである
そして1週間後、脳に埋め込んだ電極が安定すると、
医師たちはジェフの胸壁部分にペースメーカーを埋め込み、
電子ワイヤで電極に接続、ついに電源が入れられた。すると・・・
電源が入れられた直後、トゥレット症候群の全ての症状が消えたのだ。
一言話す事すら困難だったジェフは、
「こんなに症状が治まったことはありません。
このような日が来るとは、思ってもいませんでした」と
流ちょうな言葉で喜びを語ったのである。
自由に話が出来て、動きも自分でコントロールする体を取り戻したのだ。
こうして、ジェフは妻や子供たちと新しい生活を送っている。
最先端の医療技術は、ジェフの人生に新たな幕を開けてくれたのだった。