最低気温が−30度にも達する、中国ハルビン市を本拠地とする
『黒龍江氷上雑技団』は、中国初の氷の上の曲芸『氷上雑技』を行う雑技団。
アイススケート用のシューズを履き、
アイスリンク上で様々な曲芸を披露するのである。
そんな氷上雑技団は、1カ月後に台湾での初公演を控えているにもかかわらず、
未だに、どの演目も完璧とは言えないで出来だった。
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特に心配されているのが、2人で獅子のかぶり物をして踊る「中国獅子舞」。
刃の付いたスケート靴を履き、獅子舞に挑戦するが
氷の上では足元がおぼつかず、なかなか上手くいかないのだ。
そんな中、元プロスケーターのチェン・ユーはさすがの腕前。
彼女は、高下駄スケート靴を履いて氷の上で踊る「白鳥の舞」を披露する。
雑技団の目玉と期待されている。
もう1つの売りが、どこでもアイスリンクが作れる移動式製氷機。
橙色のパイプを敷き詰めれば、そこに簡単に氷のステージが出来上がるという
秘密兵器なのだ。
いよいよ台湾へ出発!
黒龍江氷上雑技団は、初公演の4日前に台湾入りした。
しかし、そこで思いもよらない問題が発生していたのだ。
【初公演3日前】
団員たちが初舞台となるアイスリンクへ行くと、なんとステージに氷がない。
製氷機が壊れてしまったのだ。思わぬ事態に呆然とする団員達。
製氷機の修理が行われる中、この日、団員たち床の上で技の練習することになった。
【初公演2日前】
製氷機は作動し始めたが、とてもスケートが出来るほどの氷にはなっていない。
どうやら、冬でも25度以上になることがあると言う、
台湾の暖かい気候のせいで、氷が出来にくいらしいのだ。
取り敢えず団員達は床で練習することに。
【初公演 前日】
やはり氷は出来ていない。
台湾の主催者と、雑技団の責任者とで話し合いが行われることに。
明日の初公演はやるのか?やらないのか?
しかし結果は先送り、明日のアイスリンクの出来を見て決めることになった。
【初公演 当日】
結局アイスリンクは出来なかった。だが、それでも初公演は開催するという。
ただし、すべて床上の曲芸で・・・これではもはや、普通の雑技団。
仕方ないので、お客さんには、
「氷が出来たときに、もう一度見られるチケット」を配ることにした。
【初公演 2日目以降】
客足は落ちた。「氷上雑技団」と言っていながら、氷がないのだから当然である。
そこで−196度の液体窒素で表面を一気に凍らせ、
アイスリンクを作ろうと試みたのだ。すると!
アイスリンクの一部が使えるようになり、
徐々に氷上の曲芸も行えるようになっていったのである。
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【週末公演の朝】
ついに、念願のアイスリンクが完成!!これで全て上手くいくと誰もが思っていた。
しかし!またもやトラブル発生。
氷に穴が空き、製氷機のパイプが壊れ、水が溢れ出て来たのだ。
スケートシューズの刃でパイプを壊してしまったらしい。
取りあえず水漏れを止め、穴を塞ごうとしたが、開場時間となってしまった。
そこで彼らは、なんと!「ショーを行いながら修理する」事にしたのだ!
スポットライトを使った演目の時に、照明の当たっていない陰に隠れて作業を行う。
懸命な修理の結果、水漏れを止める事に成功!
団員達は素晴らしい曲芸を披露した。
チェン・ユーも高下駄スケートを履いて、白鳥の舞を華麗に舞う。
問題の中国獅子舞も見事成功。
どうにかこうにか成功を納めた黒龍江氷上雑技団だったが、
なんと1か月後には、イタリア・トリノでの公演が決まっているという。
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