09/03/16 OA
アフリカの怪物 大発生
数年に1度大発生し、西アフリカなどで農作物を食い荒らす「サバクトビバッタ」。
このバッタ、大発生する時は姿形が変わり、別の生物のようになるという。
大量発生の現場を目撃し、その秘密を解き明かそうと
アントワン・フーカー博士は、サバクトビバッタの故郷といわれる
サハラ砂漠の奥地へとやって来た。
サバクトビバッタは、およそ1か月程で成虫になるが、その間に5回脱皮を行う。
最後の脱皮が終わると、ようやく空を飛ぶ羽が手に入るのだ。
空を飛ぶのは通常、夜中で、驚くべき事に1日で100kmを飛ぶ事もある。
今の時点では、まだ大量発生を起こしていないが、
フーカー博士はある事を警戒していた。
それは「雨」。
実は、雨とバッタの大量発生には、関連があると考えられているのだ。
それは・・・
「雨が降る」
↓
「バッタが食料とする植物が、大量に増える」
↓
「食料が増えたバッタは、一斉に繁殖し、数が急増」
↓
「雨がやみ太陽が照り付けると、植物は枯れる」
↓
「大量のバッタが、僅かに残った植物に集まり、群れをなす」というもの。
そして、数少ない植物に集まったバッタたちは、
お互いの体が触れ合う事で、「大量発生のスイッチ」が入り、
集団行動を取るバッタに変身、さらに大群になると言う。
そうなると、体の色は、緑から黒っぽい色にかわり、
日中でも関係なく空を飛びまわるうようになる。
メスは、行く先々で、1度に80個もの卵を産み付け、
卵からかえった幼虫達の体の色は、しばらくすると黒くなっていく。
そう、この子ども達は生まれた時から、既に集団行動を取るバッタなのだ。
フーカー博士は、モーリタニアにバッタの群れがいるという情報を聞き、現場へ急行。
すると、そこにあった植物は、既に何千匹というバッタで覆い尽くされていた。
しかも、どれも体が異様に黄色い。
この黄色い体への変色こそが、バッタ集団化の最後の段階。
一日に2q以上も歩いて移動し、食欲も旺盛で、
300万匹の大群が1日に3トンもの農作物を食い尽くたという記録もある。
フーカー博士は、モーリタニアのバッタ管理センターに連絡。
今回は、駆除チームを呼び、大発生を防ぐ事となった。
最近の研究で、バッタの脳内にあるセロトニンという化学物質が
大量発生の引き金となっている事が判明したという。
近い将来、そのセロトニンをコントロールする事で、バッタを無差別に殺す事無く、
大量発生を阻止できるようになるかもしれない。