世界まる見え!テレビ特捜部
09/03/16 OA
我が家を救え!ウルトラ引越し大作戦

スウェーデン北部、鉄鉱石によって発展してきた街、マルムバージェット。
約1万5000人が住むこの街は、大きな危機に直面していた。
鉄鉱石を採掘するために多くの穴を掘ってきたのだが、
これが1970年代後半、崩落し始め、
街のど真ん中に縦横百メートル以上の巨大な穴が開いているのだ。
もし、このまま鉄鉱石の採掘を続けていけば、更なる大崩落は免れず
街そのものが地中に飲み込まれてしまう可能性すらあった。
そこで、危険に曝されている450軒以上の家を、そのまま移動させる
『街ごとお引越し』という、前代未聞の大プロジェクトが計画されたのだ。



この計画、「マルムバージェット」にある家を8キロ程離れた場所、
「ガリバーレ」へと移動させると言う、壮大なスケール。
費用は、1軒あたり15万ドルかかるが、
再び家を建てるには、45万ドルはかかる為、はるかに安いのだという。



【持ち上げる】
2007年8月、危険度の高い区域にある16軒の家の移動が始まった。
この辺りの家はほとんどが2階建てで、面積は140u。重量は200トン以上はある。
まずは家を持ち上げるため、床下に鉄柱を通し、
エアージャッキを家の下で徐々にを膨らませ、地上1メートルまで待ち上げる。
なんと5週間を費やし、慎重に家が持ち上げられた。



【移動開始】
巨大な家を運べるトレーラーはスウェーデンにはなく、
フィンランドから取り寄せた特殊なもの。
タイヤの数は108つ、運転手付きで、1日のレンタル料1万ドルにもなる。
移動させる最初の難関は、建物が立ち並ぶオフィス街の狭い通り。
当然の事ながら、この道、家が通る事など想定しているわけがないので、
トレーラーに載った家は、道幅ぎりぎりの所をすり抜けていく。
壁までの距離は僅か数十センチ、一瞬のハンドルミスで大惨事を招きかねない。
慎重に進むこと実に4時間、ようやくオフィス街の道をクリア。



【5km地点】
出発から5キロ地点には、行く手を阻む橋が!
欄干と家との間は僅かで、作業員は細心の注意を払い、
トレーラーの高さを調節しながら橋を通過。



【残り3km】
巨大な家を乗せたトレーラーは、森を抜け、線路をこえ、
ようやく目的地であるガリバーレに到着。
こうして一軒目は無事に引越し完了。



【冬の到来】
マルムバージェットに冬がやってきた。
平均気温−10度、時に−40度を記録することすらあると言う、
雪深い極寒の中、引越しは続く。
路面が凍結しているので、滑り止め用に砂を撒きながら進む。
しかし、下り坂では一気に滑り落ちてしまう危険性があるため、
家が乗ったトレーラーの後ろにトラックを1台連結させ、
常にブレーキをかけながらゆっくりと下っていく。
一方、上りでは、トラック2台と除雪車を2台を連結させて運んでいく。
こうして過酷な条件の中、幾多の苦難を乗り越え、作業は行われていった。
そして、4か月をかけて16軒の引越しは完了。
移り住んだ人々は、新たな生活を始めたのである。



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