アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキで発生した、連続銀行強盗事件。
窓口で、ささやくように現金を要求し、まるで預金を下ろすかのように、
あっという間に姿をくらましてしまう犯人、その名も≪ささやき強盗≫。
懸命に捜査するFBIや地元警察をあざわらうかのように、
多いときには1日に6件もの犯行を繰り返す。
FBIが現場で聞き込みをすると
「ほとんどの銀行職員が、強盗に入られたことさえ気が付いていない」
という衝撃の事実が。
応対した行員によると、
『俺は拳銃を持っている。金を出せ!』と、ささやくように現金を要求。
現金を渡すと、それをポケットに入れ、静かに立ち去ったという。
窓口ですぐに用意できる金額だけを奪い、
短時間で確実に仕事をこなすやり方。まさにプロの手口。
犯人は指紋などの証拠を一切残さず、防犯カメラの映像からも手がかりはなし。
唯一の手がかりは、銀行の方から、
ペンキをまき散らしながら走ってくる男の目撃情報のみ。
すると、その男が乗った車のナンバーから、犯行に使われた車が、
現場から遠く離れたワイオミング州の男性のものであることが分かった。
ところが、男性によると、車は現在≪元妻カーリータ≫が所有しており、
しかも、彼女が住んでいるのは、事件の舞台となったアルバカーキだという。
その、元妻カーリータの通報で、事件は一気に進展をみせる。
彼女は、「銀行強盗は自分の夫≪バイロン・チャバック≫に違いない」という。
そこで、夫バイロンがいない隙に、妻から詳しい話を聞こうとしたFBI。
だが、その時、外出していたはずのバイロンが帰宅!
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激しい銃撃戦の末、《ささやき強盗》バイロンは、逃げ場を失い逮捕。
14件の銀行強盗と連邦警察への銃撃罪で懲役40年が言い渡され、
事件は一件落着したかに思われた。
しかし…
逮捕されてから1年半後、裁判所への護送中に脱獄に成功した《ささやき強盗》。
全米に指名手配されている中、
彼が、再び姿を現した場所は、アルバカーキだった!
以前と同じ街で、またも銀行を襲撃し始めたバイロン。
もうささやくことはなく、大声で『自分はロビン・フッドだ』と宣言し始めた。
そう、ロビン・フッドのように、
「人助けのために強盗をしている」と、バイロンは言い始めたのだ。
さらに、地元ラジオ局に一通の手紙を送りつけた彼は、
生放送で自分をインタビューするように求め、
そこでコメントさえ放送するまでに。
しかし、このとき、ラジオ局の監視カメラに、
手紙を出しに来たギャング仲間の≪ロナルド・ベイカー≫が映っていた!
バイロンをかくまう人物に違いない。
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そこで、ベイカーの暮らす、トレーラーハウスの監視を始める捜査官。
さらに当時、警察に逮捕されていたバイロンと顔見知りのギャング仲間に
司法取引を持ちかけ、トレーラーハウスへ潜入させた。
すると!!銃撃戦となった。
FBIは一気に攻め立て、ようやく連続強盗犯を逮捕。
その後の調査で、盗んでいた金は全て
バイロン自身が使用するドラッグへと消えていたことが判明。
ささやき強盗は懲役80年の刑を受け、現在も服役中である。
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