09/06/22 OA
パパ絶叫!?ママ号泣!? イギリス子どもタイボクシング
今、イギリスで人気急上昇中のちょっと過激な子どもの習いごと。
それは、何とタイボクシング。
クラブの数は500を超え、時には大人顔負けの金網マッチも行われるのだ。
タイボクシングを始めて、7か月目を迎えた5歳の女の子ミア。
彼女は、以前敗北を喫した宿命のライバルとの試合に備え、
父ダレンを相手にトレーニングを行っている。
ライバルはミアより一つ年上で、体も大きいため、
体重を増やすために食事をたくさん取り、
負けた試合のビデオを見直すなどして、試合に向けて着々と準備を進めていた。
そして試合当日、何と400人もの観客が会場に集まった。
子供の試合のルールは、公式に統一されたものがまだなく、
それぞれのクラブによって異なるが、多くの場合、顔と頭への攻撃は反則となる。
いよいよ試合開始。
ミアはいきなりダウンを奪い、母リサも熱烈な声援を送るが、
残念ながらまたしても負けてしまった。
その眼に悔し涙を浮かべるミア。
イギリスのジュニアタイボクシング界の
トップ選手の一人が、ロンドンに住む9歳の男の子、コナー。
タイボクシングを始めて3年半、将来を大いに期待される選手である。
元は、母ニッキーが、
コナーをタイボクシングクラブに連れて行ったことがきっかけ。
コナーは、応援熱心な母ニッキーに支えられ、
コーチのテリーとともに猛練習に励んでいる。
さらに彼は、イギリス各地を遠征し強敵と対戦、勇敢に戦い続け、
ついに、イギリスチャンピオンに輝いたのである。
だが、実はイギリスには、さらに強い少年がいる。
それが、10歳のタイ。
過去に国内王者を6回も獲得し、現在はヨーロッパチャンピオン。
2歳半で早くもリングに上がり、10歳にしてすでに59試合を経験、
57勝2敗という驚異的な成績を誇る怪物である。
タイの母マキシーンは、タイボクシングの元イギリスチャンピオン。
姉エマンズは世界王者という、
タイボクシングエリートの一家に育ったタイ。
彼は、元タイ式キックボクサーである父マークの指導を受け、
タイはまさしく朝から晩まで、タイボクシング漬けの生活を送っているのだ。
さらに、彼らは毎年、本場タイに乗り込み、武者修行を行っている。
イギリスと違って、タイでは子供にも、頭部への攻撃が許されており、
本場のルールで勝ってこそ、真のチャンピオンなんだと語る父マーク。
そして、タイは本場の選手を相手に、3ラウンドでノックアウト勝ちを果たしたのだ。
ストイックに自分を鍛え、圧倒的な強さを誇る、最強王者タイ。
そんな怪物に挑むこととなったのが、イギリスチャンピオン・コナー。
しかもその試合は、リングに金網を張った金網デスマッチだ。
試合当日。
会場には何千人もの観客が詰めかけ、ゴングが鳴るのを今か今かと待ち続ける。
試合は1ラウンド2分の5ラウンド制。
タイは何とヘッドギアを付けずに試合に臨むという。王者の余裕か?
そして、ついに試合開始。
激しくぶつかり合う2人の少年たち。
コナーは臆せず、最強王者に立ち向かっていく。
それどころか、試合は徐々にコナーのペースになってきた。
焦り始めるタイ陣営・・・
母マキシーンから厳しい指示が飛ぶ。
そしていよいよ、最後のラウンド。
だが、ここで思わぬ事態が!
追い詰められた最強王者タイが、
反則となる、頭部へのパンチを連発してしまったのだ。
そして、試合終了。勝負は判定に持ち込まれた。
「2対1で、コナー」
アナウンスが響き渡り、大喜びのコナー、勝利のダンスを踊る。
小さな肩を落とし、リングを降りるタイ。
涙ながらにコナーへのリベンジを誓う。
2人はこれからも激しい戦いを繰り広げるに違いない。
己のプライドをかけ、夢中になって戦う子供たち。
そして子供たち以上に熱中する親。
この「ちょっと過激な習い事」に魅せられ
今もイギリスでは、クラブの門を叩く子供の数は増え続けている。