09/07/06 OA
アフリカ 白色の異端児たち
アフリカ大陸に広がるサバンナ。
ここではさまざまな野生動物たちが、狩を成功させるためや、身を守るために、
体の色を周囲の自然環境に適応させて暮らしている。
しかし、ごく稀に仲間と違った色をした動物が生まれる。
その多くは『アルビノ種』と呼ばれ、
紫外線から皮膚を守るメラニン色素が生まれつき欠乏している為、
白い毛をしているのだ。
【白いサバンナヒヒ】
乾燥した場所に生息する『サバンナヒヒ』。
体の色は周囲に溶け込む茶褐色。
強いオスを中心に、200匹程の群で暮らしている。
そしてその群れの中に、ひと際目立つ『白い毛の赤ちゃんヒヒ』が誕生した。
ヒヒのメスは母性本能が強いため、『白い毛の赤ちゃんヒヒ』も
他の子どもと分け隔てなく、大切に育てている。
すると、そんなヒヒの群に、ヒョウが近づいてきた!
狙いは、動きの遅いメスや子供。特に白い毛のヒヒの子供は目立つため、危険だ!
見張り役のヒヒが、ヒョウに気づき、群れは分散して逃げる。
白いヒヒの母親も、我が子を抱えて背の高い木の上に避難。
しかし、逃げる途中で母親は、白いヒヒを木の上から落としてしまった!
結局、ヒョウはヒヒを捕らえることが出来ず立ち去ったが、
木から落ちた白いヒヒは打ち所が悪かったのか、そのまま死んでしまった。
目立つ色に生まれたばかりに、ヒョウに狙われた白いヒヒは、
あっけなく、その短い生涯に幕を閉じた。
【黄色いワニ】
サバンナを流れる川を悠々と泳ぐ、人間をも襲う獰猛なハンター、『ナイルワニ』。
そんなナイルワニの赤ちゃんの中に、一匹の『黄色いオスのワニ』が発見された。
ワニの子どもであっても、生きて行くには多くの敵から身を守らなくてはならない。
天敵を言えるの『オオトカゲ』は、小さなワニなどペロリと食べてしまうのだ!
すると、黄色い子どものワニは、オオトカゲが現れると、
自分の体の色と似ている"明るい色の水草"に隠れて身を守り始めたのである。
そう、黄色いワニは、自分にあった隠れ場所を正しく理解していたのだ。
そして数年後。黄色いナイルワニは、体長3mもの立派な大人に成長していた。
すると黄色いワニ、川岸で水を飲む『ヌー』を狙って行動を開始した。
しかも黄色いワニは自分の肌の色が見えないように、
他のワニたちよりも"より深く"水中へと潜り、ヌーの群れに近づいて行く。
そして見事、獲物を確保!
黄色いワニは、自分の肌の色の不利を補う知恵を身につけていたのであった。
【白いライオン】
木陰で涼むライオンの親子の中にも、
全身真っ白な毛に包まれた子供が生まれた。
ホワイトライオンの場合は、黄色のワニや白いヒヒの様なアルビノ種とは異なり、
『白変種』と呼ばれ、一説では
「氷河期の時代、雪の中で暮らしていたライオンの遺伝子が現れたもの」
と言われており、世界中で約300頭しか生息していないと言う。
草木の生い茂るサバンナで"白い毛"はとても目立つ為、
獲物に忍び寄る途中で、大抵、気づかれてしまう。
だが、狩りが出来なければ、自然界で生き残る事は出来ない!
そして、数年後。
カメラは、草原を堂々と歩く、大人になったホワイトライオンの姿を捉えていた。
そう、このホワイトライオンは狩りの時に不利な、白い毛のハンデを克服し
生き延びていたのだ。
しかも、その傍らには"メスライオン"の姿も!
このホワイトライオンは、本当に強いオスに成長していたのである!