アフリカ大陸の南部に位置する、<リウワ平原国立公園>。
そのサバンナに暮らすブチハイエナの群れを率いるのは、1頭のメス。
そのメスが産んだ子供は、ナサンタと名づけられた。
彼女は女王の娘、いわばプリンセス。
一方、ナサンタの群れから、4キロほど離れた場所にライバル関係にある
別の群れが住み、そこでも同じく子供が生まれた。
地位の低い母親が産み落とした1頭のオス、それがトゥワンボ。
女王から生まれたナサンタとは正反対で、群れの中で最も階級が低い。
あまり知られていないが、ハイエナ界は厳しい階級社会。
最も高い位に生まれついたナサンタと、最も低い位に生まれついたトゥワンボ。
彼らの人生は大きく分かれていく。
捉えた獲物を優先的に食べることの出来る、女王の娘ナサンタ。
群れが彼女を守ってくれているのだ。
一方、トゥワンボのことは群れのほとんどが無視。
構ってもらえるのは、いじめられるときくらい。
さらに、トゥワンボの群れを悲劇が襲う。
飢えをしのいできたトゥワンボの群れが見つけたヌーの大群。
見事に仕留めることに成功したが、
実はこのとき、他のハイエナの縄張りを知らぬ間に荒らしていたのだ。
しかも、その縄張りを治めているのは、あのナサンタの群れ。
ナサンタの群れは、侵入者に全力で襲い掛かり、1頭のオスが逃げ遅れた。
それはトゥワンボの父親だった。
耳をかじりとられ、脚を折られる、厳しい制裁を受けることとなった。
決して交わることのないハイエナの2つの群れ。
だがトゥワンボは、その垣根を飛び越える決断をする。
数年後、そこには立派に成長したナサンタの姿が。
彼女は、やがて女王の位を引き継ぐことになる。
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すると彼女の前に現われた、1頭の見知らぬオス。
それは、ライバルの群れにいたトゥワンボだった。
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トゥワンボはナサンタにアプローチする。
こうして女王の娘・ナサンタと最も位の低いオス・トゥワンボは結ばれた。
階級を超えた禁断の恋は成就したのだ。
4ヵ月後、ナサンタはトゥワンボとの子供を無事出産。
こうして、生まれたメスのハイエナは、やがて彼女の地位を受け継ぎ、
広大な平原に君臨する女王となるだろう。
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