世界まる見え!テレビ特捜部
09/11/02 OA
この髪の毛いったい誰のもの?

人気のファッションアイテム、ヘアエクステンション。
いわゆる、「付け毛」。
多くのエクステには、人毛と書かれているが、いったい誰の髪なのか?



そんな疑問を持ったのが、イギリスのR&Bシンガー、
ジャメリア・デイヴィス。
自分が、仕事で使ったエクステは、一体誰のものか?
そう思ったジャメリア。
彼女は、インターネットで見つけた、
法医学の権威であり、毛髪鑑定で様々な事件を解決してきた
ブラック博士に髪の毛の鑑定を依頼した。



現在、イギリスでのエクステの売り上げは、年間93億円。
街では、一袋700円ほどで様々なエクステが売っている。
だが一方、高級ヘアサロンでその値段を聞くと、
いいエクステを使うと、なんとその代金は30万にもなるという。
ヘアサロンの店主いわく、
「ロシアからくる髪の毛は、ダメージの少ない上質なもの多い」とのこと。
そこでジャメリアは、ロシアから髪の毛の買い付けをしている
バイヤーのタチアナを訪れ、買い付けに同行させてもらうことに。



ロシアの首都・モスクワから、車で4時間。
そんな郊外の小さな村に、髪を売りたいと言う少女が。
彼女は、売る理由を「あきちゃったから」と語る。
そして、少女の腰まである長い髪を肩ほどの長さに切ると、
その代金を支払うタチアナ。
少女の髪のように、パーマやカラーリングをしていない髪は
ダメージが少なく高く売れるため、通常の5倍の値段をつけた。
それは、日本円にして1万5千円ほど。
この地域では、1か月分の収入に相当する金額だと言う。



こうして、ロシアのエクステ事情を見、イギリスに帰ってきたジャメリア。
そこには、頼んでいた、彼女のエクステの毛髪鑑定の結果が届いていた。



「この髪は、インドのチェンナイ北部に暮らす女性のもので、
 おそらく1年ほど前に切られ、定期的に魚を食べている人でしょう」



この結果を受け、ジャメリアはインドに飛んだ。
インドのチェンナイには、髪の毛の処理工場がいくつもある。
実は、インドの女性たちには、美の象徴である髪の毛をそり落とし、
願いをこめて神様に捧げる習慣がある。
髪の毛を大切にする女性にとっては、髪が一番の供え物なのだ。
そして寺院は、その捧げられた髪を、こうした工場に売っているのである。



ジャメリアのエクステも見てもらうと、寺院で剃られたものとのこと。
だが、捧げられた髪の毛で利益を得ている寺院に、憤りを感じるジャメリア。
そこで実際に、寺院で髪を剃る女性に会ってみることにした。



それが、サンドリア。
彼女は、家が立ち退きを迫られているため、家族と生活を守るため、
髪の毛を捧げ、神様にお願いするのだと言う。
そんなサンドリアの長い黒髪が、根元からジョリジョリと剃られていく。
その様子を見て、女性が大切な髪を切り落とすという行為には
強い決意と願いがこめられていることを感じた。
さらに、ジャメリアは、寺院の一角で大勢の人々が食事をしている所を見る。
実は、貧しい人々は、寺院にくれば無償で食事をもらうことができる。
この食事代に、髪の毛を売ったお金が使われているのだ。
ジャメリアは、それを知り、インド独特の文化をようやく理解したのであった。


そして、いよいよ自分のエクステの持ち主を探すため、海辺の町へ。
「1年ほど前に髪を捧げ、魚を定期的に食べている女性」がいないか
聞いて回ったのである。
すると、条件に会った女性が見つかった。
ワナジャと言う女性が、娘の顔面麻痺が治るようお願いするため、
1年ほど前に髪を捧げたと言うのだ。



実際に、ジャメリアのエクステが、ワナジャのものであるかどうかは分からない。
だが、ジャメリアは、子どもを思うジャメリアの気持ちがこもったものだと
信じることにしたのだ。
そう、あなたがつけているエクステにも、
誰かの願いがこめられているのかも知れない。



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