アメリカ最北の州≪アラスカ≫。「チャーリー・ヴァンダゴー(68)」は、
クマの冬眠時期を除く、1年の約半分をアラスカの森の小屋で過ごしている。
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毎朝、野生のクマが何頭も集まっている庭に出て餌を与える、破天荒な男。
アラスカではクマへの餌やりは法律で禁じられており、
彼の行為はたびたび問題視され、自治体からも警告を受けているが、
本人は「経験豊富だから襲われることはない」と、おかまいなしだ。
彼が特に可愛がっているのが、5歳になるメスのグリズリー、「クッキー」。
子供の頃から良く知っているので、我が子のように気持ちがわかるのだそう。
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ところがある日、餌をやろうとした「チャーリー」の右手に、
「クッキー」が噛みつくという、思いも寄らないアクシデントが発生した。
その日以来、「クッキー」は姿を見せなくなってしまった。
「チャーリー」はいてもたっても居られなくなり、
「クッキー」を探しに森の奥深くへと入っていくことにした。
本当なら、人間がクマのテリトリーに足を踏み入れることは、大変危険な行為。
ところが「チャーリー」は、巨大なオスのブラックベアと遭遇しても
しっかりと向き合い、上手にコミュニケーションをとってしまう。
しかし、肝心の「クッキー」とは出会えなかった。
冬眠の季節が近づき、「チャーリー」が街へ戻ろうとした頃、
ある日、待ち望んだ「クッキー」が現れた。
「チャーリー」は久しぶりの再会を喜び、餌を与えようとするが、
「クッキー」は目を合わせようともしない。
どうやら「クッキー」は、森の中で過ごしている間に、野生本来のクマに戻り、
人間を警戒するようになっていたようだ。
「チャーリー」は寂しがりながらも、これがクマ本来の自然な姿だから
仕方がない…と、「クッキー」にお別れを告げたのだった。
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