歌と音楽に合わせて軽快なダンスが盛り込まれ、老若男女を問わず国民の
最大の娯楽として親しまれているインド映画。
そんなインド映画産業の知られざる裏側とそこで活躍する人々の姿を追う。
映画の都<ボリウッド> は、インド映画の制作中心地。年間、制作本数は実に
1000タイトル以上。年間観客動員数は37億人を超え、本場ハリウッドをはるか
にしのぐ勢い。中でも、インドの映画史上かつてないロングヒット作品が、
『花嫁は僕の胸に』。<ムンバイ> にある映画館で、上映期間700週目を記録
している。この映画のチケット代は、3時間半でおよそ100円。だが、こうした
街の映画館に通えない、貧しい子ども達にも映画を見せようと「フュローズ」と
「アニース」の2人は、移動式映画ボックスで上映している。そこでは、
インド映画だけではなく、スパイダーマンやゴジラなどの映画も上映。仕組み
は、ボックスの中の映写機をまわして映像をながし、まわりにある小窓から覗く
というもの。この映画の料金はおよそ10円。
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さらにユニークな手法で格安映画を提供するのが、<コルカタ> の街に暮らす
「サリーム・ババ」。廃棄処分した古い映画フィルムを購入し、盛り上がって
いる場面だけをハサミで切ってセロハンテープでつなぎあわせて上映。しかも、
およそ2円という破格の値段で多くの人たちに提供している。
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<マレガオン> の街で暮らす「シャイク・ナシール監督」が低予算で制作して
いるのが『スーパーマン』。
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スーパーマンが飛ぶシーンを、スーパーマン役の男性を自転車にうつぶせに乗せ、
後ろにいるスタッフがマントをなびかせて風を演出し撮影しているのだ。しかも、
シャイク監督の持つハンディカメラ1台だけで撮影している。後日、出来上がった
シーンを見ると、歩行者の目線の高さほどの場所を飛ぶという、やけに低い飛行に、
ぎこちない着地シーンである。このスーパーマンの総制作費はおよそ20万円。
3時間におよぶこの超大作は、街の映画館で2週間劇場公開される。チケット代は
およそ40円。これからも身近なテーマで映画を作り、世界中に広めていきたい
というシャイク監督である。
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