<アメリカ>ハリウッド映画の魅力である、手に汗握る『カーアクションシーン』は、
どのように撮影されているのか?
ハリウッドの監督たちの驚くべきアイディアや、映像テクニックを紹介していく。
【1994年「スピード」】
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「スピード」の名シーンと言えば、途中が途切れている未完成の高速道路を、
大型バスが大ジャンプして渡る場面。派手に飛び越えているように見せるために、
道路にスロープを用意し、ここに本物のバスを走らせて、スロープの傾斜を利用して
上向きにジャンプさせた。このときの映像と、本物の未完成の高速道路の映像とを
巧みに合成し、まるで本当に道路を飛び越えたかのような迫力あるシーンを再現した。
【1971年「フレンチ・コネクション」】
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ニューヨークを舞台にしたカーチェイスシーンは、リアルを追求した結果、なんと
全く交通整理されていない、普段のままのニューヨークの街中で撮影をすることに。
交通法規を守りながら撮影されたカーチェイスシーンには、監督の斬新なアイディア
がふんだんに盛り込まれている。
車には3台のカメラを設置。1台はバンパーに取り付け、地を這うような映像で
スピード感を出した。2台目はフロントガラス越しに主人公に向けて設置し、主人公
の表情だけでなく、フロントガラスに映る「流れる景色」で緊迫感を狙った。そして
3台目は主人公の肩越しに前方を撮影し、見ている人が実際に運転しているかの
ような臨場感を出した。
さらに、法定速度で走る車を撮影する際に、フィルムを通常より遅く回転させて
撮影し、再生するときには通常の速度で再生することで、実際よりも速い動きに
見えるという効果を狙った。こうすれば、交通法規を守りながらもスピード感
あふれる映像が作りだせるのである。
【1994年「トゥルーライズ」】
キーウェストのセブンマイルブリッジを暴走するテロリストの車をヘリコプターで
追いかけ、車の中にいる女性をサンルーフから引き上げ助け出すという、
危険きわまりないシーン。失敗したら女性は車ごと海に落ちてしまい、とても危険。
そこでとられた方法は、ヘリコプターにいるシュワルツェネッガーと女性をがっちり
つなぎ、ヘリから女性をつり下げてサンルーフから車に乗せ、タイミングを見計らっ
て女性を引き上げる、という方法だった。使用した車は、この映画のために開発した
リモートコントロールカー。こうすれば、車とヘリのタイミングが合わなくても、
女性がケガをすることはないのである。
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