11/02/28 OA
カヤック冒険家 死の海へ挑む!
冒険家「アンドリュー・マコーリー」は、これまで難攻不落と言われた山々を
次々と制覇し、広くその名を知らしめてきた。
しかし、今回の『全長1600キロにも及ぶカヤックでのタスマン海単独横
断』は、彼がこれまで経験してきたどの冒険よりも危険なもの。
成功すれば、史上初の快挙となるが、荒れ狂う波に飲まれれば命の保証はない。
彼には愛する妻の「ヴィッキー」や、3歳の幼い息子の「フィンレイ」がいる。
今回の冒険の為に作られたカヤックは、狭いながらも寝泊まりが出来る。
そして、最も重要なパーツが、中央にある黄色の防水カプセル。
カヤックが転覆して、逆さまになったとしてもカプセル内部の空気が浮力とな
って、元通りになるように作られているのだ。
そして、2007年1月11日、アンドリューは、出発地点であるタスマニア
島からゴールのあるニュージーランドに向けて、カヤックを漕ぎ始めた。
出発から4日目、シドニーのヨットハーバーでは、航海士「ジョナサン」が
変わりやすい海の天候を、定期的にチェック。すると、強い低気圧が近づき、
アンドリューは、早速、タスマン海の凄さを味わった。
出発から7日目、低気圧の猛威をどうにかしのいだアンドリュー。
どれだけ頑張ってコックピット内を乾かしても、水が残ってしまい、
連日、漕ぎ続けた疲れもなかなか回復しない。
出発から10日目、アンドリューの行く手に、大型の嵐が接近していた。
その頃、航海士ジョナサンは、アンドリューのメールを待ち続けていた。
毎朝5時過ぎに送られてくる位置報告が、11時になっても届いていなかった
のだ。だがそれから10時間半後、やっとジョナサンの元にメッセージが届い
た。アンドリューは奇跡的にも生きていた。
出発から30日目、アンドリューは、ニュージーランドのゴール近くまで来て
いた。妻と息子は夫を迎えるためゴール地点へ向かう。
しかし、ここにきて事態が急変。アンドリューのものと思われるカヤックから、
緊急無線が入ったのだ。ヘリが出動し、隊員達が発見したものは・・・
乗り手を失ったアンドリューのカヤックだった。ニュージーランド当局は、
アンドリューが漕ぎ進んでいる時に転覆し、溺死したと結論付けた。
しかし、彼の遺体は今なお発見されていない。
皮肉にも転覆を助けるはずの防水カプセルの留め具が外れ、逆さまになったそ
の内部に水が入り、自力で元に戻せなくなったと推測されている。