11/10/03 OA
実録!北朝鮮観光ツアー
今回、北朝鮮観光ツアーに参加したのは、元教師の「クロード」と、その友人の
「ジャクリーヌ」、そして匿名希望の「アンリ(仮名)」の3人。今回彼らが訪れる
観光スポットは、予め北朝鮮側によって定められたもので、全体を通して回るガイド
と、現地ごとのガイドが案内する。3週間のツアー料金は8500ユーロ(約94万円)。
西欧人がこうしたツアーに参加するのは非常にまれなことだと言う。
やってきたのは、韓国との軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)。
厳粛な雰囲気の中、板門店の見学を終えた一行だが、結局彼らがここで撮った全ての
写真は、削除されてしまった。
次は、朝鮮戦争の歴史を伝える軍事博物館を訪れた。館内で上映された朝鮮戦争に
ついての映画では、朝鮮戦争がアメリカによって引き起こされたという内容になって
おり、歴史学の主流とは異なる考えのものだった。
その後一行は、外国人旅行者のために用意されているホテルへ。
ここでは、母国にいる家族への携帯メールが送信出来ず、インターネットも使えない。
しかも町を散策しようと外出を試みれば、ポーターに制止される始末。理由をガイド
に尋ねると、『みんながあなた方をスパイだと思っているから』という、耳を疑い
たくなるような言葉が返ってきた。
翌日、平壌近郊にある蒼光(チャンガン)幼稚園へ。
元気一杯の挨拶で一行を迎えてくれた園児たち。北朝鮮の将来を担うであろう園児
たちのパフォーマンスは、徹底的した管理教育のたまもので、もはや、お遊戯レベル
とは言えない、卓越したものばかり。
数日後、北朝鮮の聖地と言われる白頭山(ペクトゥサン)へ。そこで、現在の最高
権力者、金正日総書記が生まれたとされる生家に案内された。
しかし歴史学者達の間でも、金正日総書記は、旧ソ連で生まれたというのが通説。
北朝鮮の歴史に詳しい元教師のクロードは、この話を受け入れることが出来なかった。
そして一行が、最後に訪れたのは、日本海沿いにある小さな村。
一般庶民と初めて会話が出来ると期待していた一行だが、訪れた家は人の様子も部屋
の雰囲気もどこか不自然。どうやらここは、外国人旅行者と交流を深める為だけに
作られた家のようだ。海岸沿いで海藻を拾っている本物の庶民を見つけ、話を聞こう
と近づいても、現地ガイドに止められてしまった。
結局、庶民との会話はおろか、北朝鮮の文化に触れることは出来なかったのだった。