世界まる見え!テレビ特捜部
11/10/31 OA
煙の中の少年たち

<西アフリカ、ガーナの首都≪アクラ≫>の町の一角に、使えなくなった電化製品が
山のように積まれている。
これらはアメリカやヨーロッパ、そして日本などの先進諸国からリサイクルや寄付と
いう名目で送られてきた物。これらは力ずくで壊され、コードやケーブルだけが
引き抜かれて、それを焼却場で子ども達にわずかなお金を渡して焼かせ、中の銅線を
取り出す。こうして取り出された銅は、ガーナ国内の大手輸出業者へと運ばれ、
そこから再び海外へと輸出されていく。
ここで働く少年たちは1000人以上。その中の一人「ダガラ(15)」は貧しさゆえに故郷
を離れ、仕事を求めてこの焼却場にきて3年が経った。彼は、少しでも早くコードの
カバーを焼く為、燃料代わりにタイヤや発泡スチロールを一緒に燃やす。だが、この
時に出る真っ黒な煙には、発ガン性物質の『ダイオキシン』や、DNAを傷付ける
『ベンゾピレン』、ぜんそくの原因となる『硫黄酸化物』といった有害物質が含まれ、
「ダガラ」の体をむしばんでいる。又、焼けたビニールや火花で、足には、無数の
やけどの傷跡が。

仕事を終えた「ダガラ」が向かったのは、ゴミで埋め尽くされた道の先にある木造の
コンテナのような自分の家。同年代の4人の友人たちと暮らしているが、トイレも
キッチンもなく、公共の洗い場が風呂代わりだ。

翌日は雨。これでは火が燃やせず、お金は手に入らない。空腹も堪えるしかない。
雨が止み、「ダガラ」は焼却場へと向かった。業者からコードを受け取り、古い
タイヤを使って燃やし始めた。これで昼食代くらいは稼げそうだと思ったら、燃やし
終わった銅を見た業者の男は「燃やし方が汚い」と文句を言い、金を支払わず、
銅だけを持って、行ってしまった。相手が子どもだからといってお金を払わない事は
よくあるのだ。

数日後、「ダガラ」は3年ぶりに里帰り。故郷の町「タマレ」までは、およそ800km。
祖母や兄弟、親戚たちに迎えられ嬉しそうな「ダガラ」。そこへ息子の帰郷を知り、
特別に仕事を早く切り上げた父親が帰ってきた。再会を喜び抱き合う2人。しかし父
は息子の体についた見覚えのない傷跡に黙って触れながら、息子の仕事の話に耳を
かたむけていた。すると「ダガラ」が、ポケットから15セディを取り出した。少ない
収入からコツコツと貯めた彼の全財産。日本円で770円ほどに過ぎないが、ガーナで
は大きな家計の助けとなる。

その後、首都<アクラ>に戻った「ダガラ」は相変わらずコードを焼いている。
彼の将来の夢は、お金を稼ぎ、家族みんなで暮らせる大きな家をつくることだという。


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