<南アフリカ・西ケープ州> にある『サンボナ野生動物保護地区』。
救助要請を受けたレスキューチームと獣医の「ヨハン・ユベール」がやって来た。
彼らが観察しているのは、生後6か月の子ゾウ。
母親が崖から転落し死亡してしまった為、1週間近くも母乳を飲んでおらず、
死ぬのは時間の問題だった。
この事態を重くみたヨハン医師は、子ゾウを保護することに。鎮静剤を打って眠らせ、
大人8人がかりでトラックの荷台に乗せ、リハビリセンターに向かった。
現地の言葉で希望を意味する言葉、「テンバ」と名付けられた子ゾウ。
彼を乗せたトラックがやって来たのは、『シャムワリ野生動物リハビリセンター』。
母親を失い愛情を感じられていないテンバには、まずそれを感じられる環境を作るこ
とが必要だった。そこで、スタッフはテンバが一緒に遊ぶことができる友達を作って
あげることにした。その友達候補に選ばれたのが、ヒツジの「アルバート」。
対面して早々、アルバートを追いかけ回すテンバ。遊ぶのが大好きな赤ちゃんゾウに
とって、追いかけっこは、成長するために必要な行動。アルバートの登場によって、
テンバはすっかり元気づけられた。すっかり仲良しになった2頭は、翌日からいつも
一緒に行動し親友になった。毎朝散歩し、砂遊びをするテンバとアルバート。
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しかし、そんな彼らの友情を脅かす事態が訪れた。
リハビリセンターに、「メルビン」というキリンの赤ちゃんが迎え入れられた。
好奇心旺盛なキリンは、テンバにためらうことなく接近。テンバも興味を示し、
2頭は、すぐに仲良しになった。その様子をヒツジのアルバートはあまり良く思って
いない様子。そして、テンバとの散歩に出かけなくなってしまった。実は・・・
アルバートは≪心水病≫という感染症にかかり、死んでしまう危険性があった。
夜通し行われたアルバートの治療。すると、その甲斐あって何とか回復したのだ。
こうして、前にも増して仲良く遊ぶ2頭にキリンのメルビンも加わり、仲良しトリオ
が結成された。その後、順調にリハビリメニューを終えたメルビンは、元いた野生動
物保護地区に帰った。さて次は、いよいよテンバの番。
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テンバは、身体を冷やすために水浴びをして、日焼けや寄生虫を防ぐ為に、身体に
砂をこすりつけるなど、2年間で様々なことを学び、野生のゾウがやるべきことを習
得した。これで野生に帰すことが出来るが、それはアルバートとの別れを意味する。
そこでスタッフは、テンバとアルバートの間に柵を設置。更にその夜、初めて離れば
なれに寝ることに。柵の側に見を寄せる2頭。やはり少しでも側にいたいようだ。
テンバを野生に帰す時が刻々と近づいていった。ところが、ここで全く予期していな
かったことが起きた。突如、重い病にかかったテンバは、死んでしまったのだ。
その後、テンバとアルバートの2頭が散歩した木の下に、彼のお墓が作られた。
そこには、リハビリセンターにとって、大切な意味を持つようになった
『テンバ(希望)』という彼の名前が刻まれている。ヒツジのアルバートは、
今日もリハビリセンターにくる様々な動物たちの遊び相手になっている。
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