12/01/16 OA
銃を持つ子どもたち
アメリカ合衆国憲法には『人民が武器を保蔵し、また携帯する権利を侵しては
ならない』という一文がある。この憲法のもとで現在、アメリカ全体の約40%
の家庭において、銃が保管されていると言われている。
アメリカ人の中には、銃は常に身近な存在だという人が少なくない。
銃の販売店は、アメリカ全土で約5万店。かのマクドナルドの店舗数より数が
多い。今や年間約450万丁もの銃が売買され、日本円にして約7000億円もの大
金が動く、巨大産業なのだ。
<ワシントンDC>に暮らす「モーニン家」。9人の子どもを持つ父ドン。彼に
とって、銃は家族を守る大切な道具であり、同時に家族みんなが楽しめる共通
の趣味。アメリカでは、射撃を一種のレクリエーションと考え、子どもに銃を
覚えさせようとする親たちが多い。
このモーニン家も、銃という共通の娯楽をで、家族のコミュニケーションを深
めている。12歳になる娘は本物のライフルを使いこなし、7歳になるテレサの
お気に入りは、最新鋭ライフル。まるで可愛らしいぬいぐるみを触っているか
のように、嬉しそうに銃を触わっている。
<マサチューセッツ州>で6歳の息子オーウェンにモデルガンを教えているの
は、父のクリス・ハセット。
自身も5歳の誕生日に父親から22口径の銃をもらい、射撃を通じて父と絆を深
めたという。クリスは、息子にあるスクールに通わせることにした。
それは銃の学校。近年、アメリカでは銃の学校の需要が高まっている。子ども
たちは、ここで親たちが見守る中、銃の名称や発砲されるメカニズム、さらに
射撃する時の姿勢まで教わる。基礎を学んだ後、射撃場で本物の銃を発砲する。
息子のオーウェンは初めての経験に大興奮。だが、すかさず父クリスが、
撃った後も気を抜いてはいけないことを厳しく諭す。
この日クリス親子は、アラバマ州で開催された射撃イベントにやってきた。
ここでは、様々な射撃体験ができ参加者の中には、親子連れも多い。
こうしたイベントは、毎年全米5000か所ほどで開催され、至るところで大盛況
となっている。6歳のオーウェンはマシンガンの試射を楽しそう。
父クリスは子供に銃を持たせることに批判があるのはわかっている。だが銃は
身を守る道具であり、親子のコミュニケーションツールにもなりうるものだと、
信じていると言う。