2回目でもおいしい!目がテン!?ライブラリー


感動 イルカ マナティー  #542 2000/07/30

 夏休み恒例の海外特集。今年はアメリカ・フロリダが舞台です。第1週めは海に戻ったほ乳類、イルカとマナティーを科学します。いずれもフロリダを代表するほ乳類で、観光客にも人気があります。彼らは数少ない水中に住むほ乳類として、いかに水中での生活に適応していったのでしょうか?そして彼らの意外な違いとは?今回はそんな不思議な2生物の生態を明らかにします!

レタスを食べる  フロリダに飛んだ、矢野さんと魚住アナ。2人の役割は、矢野さんが野生のイルカと、魚住アナが野生のマナティーと、それぞれ仲良くなること。2人は早速食べ物でこの2生物に近づこうとチャレンジです。そこでわかったのは、それぞれの食性の違いでした。イルカの餌は「魚」。肉食性で1日に約15kgの魚を食べる大食漢です。一方マナティーには、試しに魚とパイナップルとレタスを与えてみました。するとマナティーは、左右の胸ビレをまるで手のように上手に使い、レタスをおいしそうに食べました。マナティーは、自然界では水草や海藻を食べる草食性だったのです。マナティーもかなりの食いしん坊で、一日に体重の約10%にあたる20kg以上の草を食べ続けます。けれど、いくらなんでも草だけでこの巨体を維持できるのでしょうか?その秘密は、マナティーの腸にありました。腸を伸ばしてみると驚くほど長く、実に50メートル、新幹線2両分に匹敵します。マナティーが大きいのは、その長い腸で水草から徹底的に栄養分を吸収できるからなんです。

 さらに2つの生物には大きな違いがありました。それは鼻の位置。イルカは背中に、そしてマナティーは顔の正面に鼻があるのです。実はこの違いも彼らの食性の違いに大きく関係していました。イルカは、すばしっこい魚を追いかけて捕食するため、泳ぐスピードは通常、時速45km、トップスピードは時速70kmを超えます。そのため鼻の位置を頭上に移動して、泳ぎながら呼吸できるようになったのです。一方草食のマナティーは、泳ぎながらは餌を食べないので、鼻の位置を移動させる必要はなかったのです。そのかわりマナティーは、肺を1mほどのボンベのような形に進化させ10分もの潜水が可能となっています。

所のポイントイルカの鼻は、泳ぎながら魚を捕まえるために背中へ移動した!


 イルカもマナティーもほ乳類。つまり、赤ちゃんをお乳で育てるのです。けれど乳首の位置は人間とは異なり、イルカは胴体の尾に近い部分、マナティーはなんと、胸ビレのつけね、人間でいうと、ちょうど脇の下にあたる部分にあるのです。

 さらに矢野さんは無謀にもイルカのミルクが飲めないか果敢に挑戦します。フロリダに唯一あるイルカ専用搾乳機を使い、イルカの母乳の採取に成功した矢野さんは、勇気を出して飲んでみました。すると後味がかなりコッテリしていました。成分を分析してみると、それもそのはずイルカのミルクは脂肪分が約40%もありました。普段私たちが普通飲んでいる牛乳が約3.5%ということを考えると、イルカのミルクは超高脂肪乳なのです。そこにはイルカの生存への知恵が隠されていました。イルカやマナティーなど水棲ほ乳類たちの授乳中は無防備です。そこで敵に襲われる危険を少なくするために授乳時間は1回5秒と、大変短いものとなっています。そんな短時間で栄養を与えられるように、高脂肪のミルクとなっているのです。そしてマナティーのミルクは、脂肪分60%と、イルカよりもさらに高脂肪です。

所のポイント高脂肪な水棲ほ乳類のミルクは、授乳時間を短縮するための、生活の知恵だった。


 矢野さんはメキシコ湾に繰り出し、野生のイルカ探しに乗り出しました。捜索すること1時間。ついに華麗に泳ぐイルカ達を発見!矢野さんが出会ったのは、バンドウイルカという2mほどのイルカです。さっそく矢野さんは一緒に泳ごうとチャレンジを開始しました。けれどイルカのスピードは速く、なかなか近づけません。その時、なんとイルカたちの方から近づいてきて、矢野さんと一緒に泳ぎ始めたのです。しかし残念ながらここから先はカメラに収められていませんでした。矢野さんの証言によると、矢野さんがうなずくとうなずき返してくれたり、矢野さんの動きを真似してくれたとのこと。どうやら矢野さんのチャレンジは、大成功のようです。

マナティーと魚住アナ  魚住アナはこの時期川に戻っているマナティーを求め、マイアミから600km離れたクリスタルリバーへ向かいました。ここには野生のマナティーが約50頭生息しています。ここでは船の速度を出してはならないなど、マナティーを保護するために様々な規則があります。魚住アナたちもゆっくり航行しながらの捜索です。3時間後、ついにマナティー発見です。魚住アナも川の中へ入っていきました。すると、まるで魚住アナを出迎えるようにそばへ寄ってきました。マナティーを脅かさないように魚住アナもそっと近づきました。魚住アナが出会ったのは子供のマナティーと母親マナティーです。どちらも体を掻いてあげるととても喜んだ様子で「キーキー」と声をあげました。魚住アナは大感激です。

 いずれも初心者が一緒に泳ぐのはとても難しいとされている動物。二人とも予想以上の大成果をあげたのでした。



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