激しく木をつつく鳥、キツツキ。実はキツツキという名の鳥はいなく、キツツキ科キツツキ類の鳥の総称なのです。そんなキツツキですが、実は東京都心にもいるというのです。
一方北海道には幻のキツツキ、クマゲラがいます。何と体長50センチもある巨鳥。しかし森林の伐採等により、年々その数は減少しているとか。そこで矢野リポーターが今回現地に飛び、クマゲラ探しに乗り出します。今回の「目がテン!」はキツツキ大捜索です。
まずは矢野さんが足を伸ばしたのは、東京吉祥寺の井の頭公園。ここには体長14センチほどの小さなキツツキ、コゲラがいるのです。早速矢野さんは捜索開始。すると意外にも、キツツキの開けた穴は結構見つけることが出来ました。観察してみると、キツツキが穴を開けているのは、どれも枯れ木のようです。この井の頭公園は自然のままに、枯れた木も残されているのでキツツキが棲みやすかったのでした。しかし穴は見つかるものの、肝心のキツツキの姿がなかなか見つかりません。実はキツツキ探しのもう一つの手がかりは鳴き声にありました。矢野さんは耳を澄まして鳴き声を探し、ようやくコゲラの姿をキャッチできました。キツツキを探しに行く時は、先に鳴き声を覚えてから行くのがコツです。
| 都会でもキツツキは見つかるぞ!枯れ木と鳴き声をチェック!
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しかしキツツキはなぜ穴を掘るのでしょうか?その理由にはいくつか有ったのです。まずは巣を作るため。しかしよく見ると、キツツキの住みかには、ひとつの穴のものと、複数の穴が連なったものの2種類が有りました。この2種類のうち、複数の穴のものが、普段使われているねぐらの穴でした。キツツキは、中が空洞の枯れ木に、穴をいくつか開け、夜はその内側につかまったまま眠ります。穴がいくつもあるのは、ヘビなどの外敵が穴から侵入してきた時に他の穴から逃げるためなんです。一方、1つだけの穴のものは、子育てに使うための巣穴でした。その穴は、アカゲラで直径15cm、深さは35cmほどで、この穴をクチバシだけで掘ります。キツツキは、春になるとこの穴に卵を産み、ヒナを育てます。その間親鳥は交代でヒナを守り、敵が来ると入り口をふさぎ、ヒナを守ります。
この子育て用の穴は毎年新しく掘られ、使われなくなった穴は、モモンガやリスの小動物や、他の野鳥のねぐらとして役立っています。
| キツツキの穴、複数だとねぐらで、一つだと子育ての巣穴!
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そして穴を空けるもう一つの理由はえさを取るため。キツツキは木の中にいる虫の幼虫を食べるのです。しかしキツツキはどうやってこの木の中のえさを見つけるのでしょうか?試しに木の中に昆虫がいる状態と同じように、空洞を空けた丸太をキツツキに与えてみます。すると、キツツキは移動しながら、木をちょこちょことつついています。そしてここぞという箇所だけで、必死につついてエサを探します。そうやってエサを探した後のキツツキの穴は、ちょうど空洞に沿って一列に空いていました。どうして空洞の場所がわかったのでしょうか?実は、キツツキはちょこちょこと木をつつき、音の変化で空洞を探しあてていたのでした。
エサのありかの分かったキツツキ君。しかし彼の空けたのはごく小さい、やっとくちばしの入るほどの穴。いったいこの穴からどうやってえさを食べているのでしょう?そこで木の断面の見える木でそのえさを取る姿を観察。すると驚くことに、キツツキのクチバシからクチバシの2倍以上もある、およそ5cmの舌が伸び、それでエサの幼虫を捕まえていました。実はキツツキには舌骨(ぜっこつ)と呼ばれる柔らかい骨があり、鼻から頭の後ろをグルッと通り、舌の先まで続いています。周囲の筋肉が縮むと舌骨が伸びて舌を長く突き出すことが出来るのです。さらに舌の先をよく見ると、カギ状のギザギザがついています。このギザギザに、昆虫を引っかけて穴から引きずり出していたのでした。
いよいよ矢野さんが富良野の森に、クマゲラ探しに乗り出します。東京の山の手線区内が3つすっぽり入るほどの広大な森に、たった10羽ほどしかいないとのこと。しかしその森には、クマゲラならぬ、恐ろしいヒグマもウヨウヨ。用心しながらのクマゲラ探しです。まずは巣穴の跡を見に行きました。トドマツに作られた巣穴の高さは9m。見晴らしのいい位置に巣穴を作る用心深いですが、その木の根本には、若いヒグマが木登りの練習をした、大きな爪あとがクッキリと…続いてクマゲラがエサをとった跡を発見しました。巨大なトドマツに、まるで大きなツルハシか何かで開けたような、巨大な穴が空いています。さすが50cmもある大きな鳥です。その後探すこと2時間、ついにクマゲラの鳴き声が聞こえました。しかし姿は見えず3時間経過…そのうち雨も降り出しました。作戦を変更してクマゲラのねぐらの穴で待ち伏せることにしたのですが、その周りで、またしてもヒグマの足跡を発見してしまいました。しかも狂暴な子連れ…矢野さんはやむなくここで幻のクマゲラ探しを断念したのでした。
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