知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


CTスキャン vs MRI
第820回 2006年2月26日


 今回の目がテンは、新キャラの食いしん坊な科学探偵“矢野タン”に、これまた新キャラ“怪人サトー”から挑戦状が届きます。なんと、中を開けずにキャビアの入っている缶詰と、トリュフが入っている中華まんを当ててみろというのです。
 そこで矢野タンは、人間ドッグなどでもお馴染み、「目がテン!」でもお世話になっている、「CTスキャン」「MRI」を使って、透視に挑戦しました。

 まず矢野タンは、3つの缶詰の中からキャビア入りの缶詰を見つけることにしました。そこで、一番身近で簡単な透視の方法といえば「X線検査」があります。病院のレントゲン写真から空港のセキュリティーチェックまで、お馴染みの透視の手段です。この「X線検査」を使うと、3つの缶詰のうち、1つがニセモノであることが判明しました。でも、なぜX線を使うと透視することができるのでしょうか?
 そもそも、X線とは放射線の中の一種で、放射線には“粒子の流れ”と“電磁波”の2種類があります。そして、X線は放射線の中でも電磁波に分類され、特に電磁波の中でもX線やガンマ線などは波長が短いため、様々な物質を通り抜けることができるそうなのです。
 しかし、残りの2つの缶詰を「X線検査」で見てみると、同じような大きさの粒がいくつも重なり合って、よく区別がつきませんでした。実は、「X線検査」は、一方向からしかX線を当てないため、中身が詰まっているものだと画像が重なり合って、よく見えなくなってしまうのです
 そこで今度は「CTスキャン」を使って、2つの缶詰を見てみることにしました。すると見事、中に入っているものの粒の大きさがはっきり見えて、キャビアの缶詰を発見することが出来たのです。
キャビアのCT  これは「CTスキャン」が、物の断面を見ることが出来るからなのです。実は「X線検査」の場合は、物の一面にしかX線を当てないので、X線が通り抜けてきた部分は全て重なって撮影されてしまいますが、「CTスキャン」の場合は、X線を物の断面に360度全方向から当てているので、物の断面が撮影出来るというわけなのです。この断面画像をたくさん撮影することで、立体的に物を透視することも可能になります。CTスキャンの“CT”とは、“computed tomography”の略で、コンピューターで計算された断層という意味なのだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
「CTスキャン」はX線を360度からあてて、物の断面を見ることができるのだ!

 缶詰の透視に成功した矢野タン、続いてはトリュフが入った中華まんを透視することに。先ほど成功した「CTスキャン」で中華まんを見てみると、なんと今度はよく見えなかったのです。
 そこで、同じように透視ができる「MRI」で見てみると、こちらは中華まんの透視に成功。見事、トリュフ入りの中華まんを発見することができたのです。しかし、なぜ「CTスキャン」ではよく見えずに、「MRI」ではよく見えたのでしょう?
 その理由は、透視のやり方の違いにありました。先ほどの「CTスキャン」はX線を使って透視していましたが、実は「MRI」は、強力な磁場の中で電磁波を流し、物の中の水素原子を共鳴させることで透視しているのです。つまり、「MRI」は水素原子がたくさんある物の方が測定しやすく、水分が豊富に含まれている中華まんなどは、「CTスキャン」よりもうまく透視できるというわけだったのです。ちなみに、「MRI」とは“magnetic resonance imaging”の略で、“磁気共鳴撮影”という意味です。

所さんのポイント
ポイント2
MRIは強力な磁気と電磁波の力で、断層撮影をする装置。
水分の多いものに対して力を発揮するのだ!


CTとMRI画像  最後に、「CTスキャン」と「MRI」の、病院で役に立つ特徴をまとめてみると、「CTスキャン」は全身を撮影するのに20秒〜30秒程度で終了するのに対し、「MRI」は全身を撮影するのに約50分〜60分もかかります。ですので、救急の患者の場合、まず「CTスキャン」で大まかに見て患部を探し、その後「MRI」で詳しく検査するのだそうです。
 また、一般的に脳や筋肉のような水分の多いところは「MRI」、水分が少ない骨などは「CTスキャン」の方がよく見えるそうなのです。



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