知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


沖縄に誕生! 目テン畑
第867回 2007年1月28日


 平成元年からスタートして18年、なんと「目がテン」がこの秋に放送900回を迎えます。そこで記念すべき900回目の放送に花を添えるため、お祝い事に欠かせないお赤飯を、科学の力で一から作ろうという長期企画が始動しました。

 お赤飯に必要な材料は、もち米、アズキ、ゴマ、そして塩の4つ。塩以外の材料を「目がテン農園」で栽培して収穫してしまおうという計画です。
 しかし、早速大きな問題がありました。それは今から栽培を始めても900回の放送日までに収穫が間に合わないのです。そこで、とっておきの秘策。沖縄に畑を作り、温暖な気候を利用することにしたのです。
 栽培スケジュールは、まずはアズキの種をまき、4月に収穫。続いて畑を二つに分け、一方に水田を作りモチ米を、さらにもう一方にはゴマの種をまき、8月に収穫という予定です。
 そこで、早速沖縄へ飛んだ矢野さん。600m2もの広い畑を提供してもらったのですが、その畑は15年間放置されていて、草が生い茂る荒れ果てた土地でした。しかし、一緒に畑作りを手伝ってくれる地元の小中学生達30人が助っ人として登場。
 まずは草刈りを始めた矢野さんと子供達。そこにさらなる助っ人、ショベルカーも登場。おかげで翌日には、畑に生い茂っていた草が一本も無くなりました。後は、種をまくだけと思いきや、肥料をまかなければ植物が育たないとのこと。
温泉卵  そこで、良質の肥料を手に入れるために畜産場を訪れた矢野さん。しかし、肥料を見てみると、何やら湯気が立っているのです。実はこれ、発酵熱によるもの。発酵熱とは、豚の糞やおがくずを微生物が分解して植物に必要な栄養素を作り出す時に発生する熱で、作物にとって有害になる病原菌を殺すのだそうです。実際に温度を測ってみるとなんと71℃。ためしにラップにくるんだ卵を埋めて待つこと30分、見事な温泉卵が完成しました。
 2ヶ月発酵させて、匂いもなくなった有機肥料を手に入れた矢野さん。この有機肥料2トンをトラクターで畑の土に混ぜて準備万端、さあ今度こそ種まきと思いきや、今度は一週間土を寝かせなければいけないとのこと。

 そこで矢野さんは、理由もわからぬまま、その一週間を利用して、沖縄の海から美味しい塩を作ることにしました。海水を汲んで、鍋で煮詰めて水分を完全に蒸発させると、鍋の底に塩だけが残り、簡単に完成。しかし、味見してみると、とても苦く、まずかったのです。
 そこで、粟国島にいる塩作りの達人のもとを訪ねることにした矢野さん。達人の仕事を見ていると、まだ海水が残っている湿った状態で塩を取り出していたのです。味見してみると、甘味を感じるほどの美味しさでした。この違いは一体何なのでしょう?
 実は、海水を蒸発させていくと、最初に塩になる塩化ナトリウムが固まり、ニガリと呼ばれる苦い他の成分は、まだ水に残った状態になります。達人は、この状態で塩化ナトリウムだけを取り出していて、最後まで煮詰めてしまった矢野さんはニガリまで塩と一緒に固めてしまったのです。
 秘密を知った矢野さんはリベンジ。今度は先に出てきた塩だけを集め、コーヒーフィルターを使いニガリを取り除き、見事目がテン特製お塩を完成させました。そのお味は、所さんにも好評でした。

所さんのポイント
ポイント1
塩作りは、海水の水分を完全に蒸発させず、水にニガリ成分を残した状態で塩だけを取り出すのだ!

 そして一週間後、土を寝かせた畑にやってきた矢野さん。しかし、見た目は何も変わっていない様子。違いは水を入れるとわかるというので、寝かせる前の土と一週間寝かせた土を、真ん中をガーゼで仕切った筒に入れ、同じ量の水をかけ、下に溜まる水の量を比較してみました。すると、寝かせた後の土のほうが下に落ちてくる水の量が少なかったのです。
 実は、土を寝かせている間に、土の中の微生物が肥料を分解しながら粘りけを出していき、その粘りけによって土の粒が団子状の塊になるのです。これを団粒構造といいます。
納豆と大豆 水の量比較  しかし、なぜこの団粒構造になると、水持ちが良くなるのでしょう?そこで、スタジオで実験してみました。同じ数の粒の大豆と納豆を、それぞれ寝かせる前の土と寝かせた後の土に見立て、上から同じ量の水を注いで見ると、粘りけのある納豆から落ちる水量の方が少なかったのです。
 納豆を取り出して広げてみると、ネバネバの部分に水分をためこんでいたことがわかりました。団粒構造はこの粘りけのある土の固まりに水を溜め、水持ちの良い土を作り出すのです。さらに、団粒構造は隙間が多く、水はけも良いのです。

所さんのポイント
ポイント2
肥料と混ぜた土を寝かせると、粘りけがある、水はけと水持ちの良い団粒構造の土ができるのだ!

 いよいよ種まき。まずは鍬で溝を掘り、水はけと通気性の良くなる畝(うね)を作ります。そして、アズキの芽が出やすいように種を縦にして埋めました。さらに、農園の手作り看板も立てて、いよいよ目がテン農園が本格的にスタートしたのです!



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