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激甘 チューリップ 菓子
第924回 2008年3月9日


 いよいよ春到来!春になると様々な植物が花を咲かせますが、今回はその中でも、私達がとびきり身近に感じる花、チューリップを科学します。

 街行く若い方から年配の方々に「花の絵を描いてください」とお願いしたところ、なんと30人中、6割以上の19人がチューリップを描くという結果になりました。さらに3歳から5歳の保育園児達に同じく花の絵を描いてもらうと、20人中13人もの園児がチューリップを描いたのです。日本人にとっては、子供の頃からすでに「花」と言えばチューリップだったのです。その理由は、チューリップの花はシンプルで象徴的なので印象が強く、描きやすいためだと考えられます。
 矢野さんはこのチューリップの形の秘密を探りに、大阪の植物園を訪ねチューリップの原種を見せていただきました。なんとそこで見た原種は、現在のものとは似ても似つかぬ姿をしていたのです。花びらは小さく花の形が広がっていて、さらに1株に3つの花を咲かせています。そして、花の高さは現在のチューリップの3分の1以下で、一見ただの野草に見えます。一体なぜこんなに形が違うのでしょうか?実は、チューリップの原産地である中央アジア付近は乾燥地帯で、頻繁に砂嵐が起こります。原種のチューリップは過酷な環境に適した形だというのです。ならば、原種のチューリップは一体どれだけ砂嵐に強いのか実験してみました。研究所で送風機を使い人工的に砂嵐を起こし原産地の気象条件を再現します。比較対象として、現在のチューリップも横に並べて置き実験スタート!風速およそ14mの風が、容赦なく砂を吹き付けること30分。実験終了後、原種のチューリップを見てみると、花びらはしおれてしまいましたが、茎はそれ程曲がっていません。一方現在のチューリップは、葉はしおれ茎は曲がり、花びらもボロボロ。さらに5日後には葉も落ち、完全に枯れた状態になってしまいました。一方原種は、5日後につぼみが少しずつ膨らみ始めたのです。なぜ過酷な環境に強い原種のチューリップは現在の形に変わったのでしょう?実は、トルコからオランダへと伝わったチューリップは、観賞用の植物として品種改良され、その爆発的な人気はバブル現象まで引き起こしました。その結果チューリップは人間にとって理想的な美しい花の形と変わっていったのです。だから私たちが見た時に強い印象を残すのです。しかし、全然違う花のような原種と現在のチューリップですが、どちらも気温が高くなるにつれて花びらを開き、気温が下がると花びらを閉じるというおなじ性質を持っているのです。

所さんのポイント
ポイント1
チューリップは、原産国の過酷な環境に順応していたが、品種改良ブームにより人間にとって理想的な美しい形へと変化したのだ!

 さて、なぜチューリップは幼稚園や公園など、様々な場所に植えられているのでしょう?その理由を確かめるべく、矢野さんは約2万本ものチューリップが咲く富山県の植物園を訪れました。すると、園内でせっかくキレイに咲いているチューリップの花をもぎ取っている人物を発見!でも実はこれ、球根の栽培に欠かせない作業なのだそうです。チューリップは、種子から成長する以外に、球根からも成長します。種子からだと、茎が少し伸びては枯れを繰り返し、花が咲くまでに5年の歳月を要します。一方、球根からだとたった1年で花が咲くため、球根から栽培するのが一般的なのです。そして球根の中を見てみると、なんと古い球根の中では新しい球根が作られていました。新しい球根は、通常3個ほどできますが、その内一番大きく育った球根が出荷され、残りは畑に植え再び新しい球根を育てるのです。花をもぎ取っていたのは、光合成で作られる養分を、集中して球根に蓄えさせるために行う作業だったのです。暗闇で育ったチューリップさらに球根の中では花びらや葉っぱ、おしべ・めしべもすでに作られ花が咲く準備が完了していたのです。球根にはあらかじめ成長に必要な養分が備蓄されているので、水を与えるだけで簡単に花を咲かせられるのです。ならばと専門家の方に、光を遮断して光合成のできない真っ暗な状態でチューリップを育ててもらいました。すると、球根の持つパワーだけで見事な花が咲きました!しかし、光合成ができないため葉や茎は白く、さらに茎は光を探し求め伸びるため、首の長い不思議な姿のチューリップになりました。

所さんのポイント
ポイント2
私たちの身近にチューリップが多いのは、花の咲く準備が完了している球根を植えるだけで簡単に花を咲かせられるからだった!

 さて、チューリップ栽培世界一のオランダでは、昔チューリップの球根を食べていたそうです。さらに戦時中には、デンプン質が多いチューリップの球根がジャガイモの代用品として食べられていたとか。球根モンブランそこでオランダ大使館で手に入れた球根料理のレシピ通りに、目がテン特製チューリップフルコースを料理のプロに作ってもらいました。さらに、球根の甘さを糖度計で計ってみると、なんとメロンの2倍以上の34.2度もあったので、この甘さを活かしスイーツも作ってもらいました。球根ソテーや球根スープなどを美味しく食べた所さんですが、砂糖不使用にもかかわらず激甘の球根モンブランにはビックリした様子でした。ちなみに今回は食用として改良された安全な品種の球根を使用しました。園芸用の品種の球根には、農薬が使われていたり、有害な成分が含まれていたりするなど、危険ですので決して食べないようにして下さい。



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