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爆笑!!透明人間が 卓球
第933回 2008年5月11日


 北京オリンピックに向けてメダルも期待され、今ちょっと卓球が熱いんです!今回は、全国で愛好者が900万人以上という卓球の秘密を科学の力で解明します。

 日本の卓球は、ブームの火付け役となった福原愛選手をはじめとした女子選手達の活躍が目立ちますが、卓球選手の身体能力は他のアスリートと比べるとどうなのでしょうか?そこで、卓球の他にバスケットボール、陸上、ウエイトリフティングのいずれも大学でトップクラスの選手を集め、色々な種目で体力測定を行いました。すると、卓球選手は50m走では下から2番目でしたが、垂直跳び、握力はビリで、背筋力はなんと矢野さんよりも弱かったのです。しかし、反復横跳びだけは1位になりました。さらに動体視力を機械で測定してみると、卓球選手はダントツで優れた成績だったのです。なぜ卓球選手は基礎体力が低いのに、反復横跳びと動体視力だけがずば抜けているのでしょう?その理由として考えられるのは、卓球は長さ2.74m幅1.525mの卓球台を使った、球技の中では最も狭いスペースで行う競技で、ボールも直径4センチで重さは2.7gとこちらも最小で最軽量。そのため、卓球選手はずば抜けた筋力は必要としないようです。

 卓球選手の優れた動体視力の謎を探るために、矢野さんは小学生と試合をしてみました。しかし、変わった打ち方で繰り出すサーブをまともに返せず、何度やってもボールがとんでもない方向に飛んで行ってしまいました。この秘密を卓球の元全日本チャンピオンの方に伺うと、飛んでくるボールをよく見れば謎が解けるというのです。そこで、ボールの動きがわかるよう、半分黒く塗ったボールをハイスピードカメラで見てみると、なんとボールはクルクル回転していたのです。つまり小学生は妙な打ち方でボールに回転をかけていたのです。しかし、なぜ選手は鋭い回転がかかったボールを、いとも簡単に打ち返せるのでしょうか?その秘密は卓球選手の動体視力にありました。回転別、ラケットの位置(四面)選手は相手が打ち返してくるボールがどんな回転なのか前もって判断し、ラケットの角度を調整して打ち返すのだそうです。実際にテレビに映し出された対戦相手を打つ前にストップし、回転がわかるか挑戦してもらうと、見事すべて正解でした。プロによると、相手のラケットがボールより上にあればバックスピン、下にあればトップスピンというように、飛んできたボールに対し相手のラケットがどの位置にあるかで回転を予測しているのだそうです。
 実際に、選手の眼がどこを見ているのか分かる装置を付けて打ち合ってもらうと、選手の視線はボールを打ち返すと、素早く相手のラケットに移動していました。卓球選手は、高速で動くボールの回転をラケットの動きで予測する必要があるため、優れた動体視力が養われていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
卓球選手は、優れた動体視力で相手のラケットの動きからボールの回転を予測していた!

 ところで、なぜ卓球選手は、反復横跳びが優れているのでしょう?打ち合う様子を見ると、左右に動いて速いボールに対応していて、まさに反復横跳びをしています。そして、一流の選手ではスマッシュを打ってから相手のラケットに当たる時間は0.18秒でした。他の球技でボールが届くまでの時間を測ってみると野球のピッチャーはキャッチャーまで0.42秒、サッカーのPKでゴールキーパーまで0.39秒、バドミントンではおよそ0.48秒でした。卓球は、どの球技よりもボールが速く相手に届くのです。つまり、反復横跳びが優れているから初速150kmという速いスマッシュを打ち返せるというわけです。ところが、秘密はこれだけではありませんでした。実は人間は眼からの情報を脳に伝え、筋肉が動き出すまで0.3秒必要と言われています。なのに、なぜ卓球選手はスマッシュを打ち返せるのでしょう?それを可能にする方法をプロに伺うと、なんと相手が打つ前にコースも予測しているのだそうです。そこで、こんな大実験を行いました。ラケット、ボール、卓球台を蛍光塗料で細工し、暗くしても見えるようにして、電気を消して試合をしてもらいました。暗闇での卓球。予測が出来ないチャンピオンすると蛍光塗料は意外に明るく、普通に卓球が出来ました。そこで今度は対戦相手を黒子にし、ラバーも真っ黒にして、ボールだけが見えて相手の動きが全く見えない状態にしてみました。すると、チャンピオンでさえも、相手の動きが分からないので全然打ち返せず、途端に打ち合いにならなくなったのです。卓球は相手の動きで打つコースを予測することが不可欠だったのです。
 ならばと今度はテレビに対戦相手を映し出し、相手が打つ前に画面を静止。そして右と左どちらのコースに来るかを予測してもらいました。するとその正解率は90%以上もありました。実は、プロは相手の肩の入り具合を見ていたのです。右打ちの選手の場合、肩の捻りが深いと左、浅いと右に打ってくると予測するのだそうです。卓球選手が高速スマッシュを打ち返せるのは、コースを予測し、得意な反復横跳びで素早く反応していたからだったのです。つまり卓球は『予測のスポーツ』だったのです。

所さんのポイント
ポイント2
卓球とは、優れた動体視力で回転とコースを予測し、俊敏な反復横跳びで予測の結果に反応する、まさに「予測のスポーツ」だった!




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