乳牛
大好き!? ヌカ漬け
第957回 2008年11月2日
来年の秋、めでたく放送1000回を迎える目がテン。そこで、手作りケーキを作ってお祝いするためスタートした
「目がテン牧場」
。第4弾の今回は、
北海道に大雪が降る前の冬支度です!
半年の間にすっかり大きく育った子牛の白元と黒元。そこで必要なのが
角切り
という作業。角を切るのは、ウシ同士がケンカで傷つけ合ったり、人が怪我をしたりするのを防ぐため。
ウシの角は、硬くなった皮膚と骨で出来ていて、骨の中には血管が通り、成長した角を除去すると大量に出血を伴うためウシが弱ってしまう
のです。だから若いうちに切除する必要があるのです。専門家の協力で、暴れないよう両足を縄で縛り、一気に切除!そして焼きゴテで殺菌、止血をして完了です。
さて、牧草が雪で覆われてしまう冬の間、ウシ達のエサはどうするのでしょう?牧場主の三浦さんに聞くと、冬の間でも食べられるように、牧草を保存すると言います。では、一体どんな保存方法が良いのでしょうか?そこで、
牧草を「乾草」、「燻製」、「ぬか漬け」と3つの保存方法で加工し、ウシがどれを好むか実験
です!すると
黒元は、牧草のぬか漬けをスゴイ勢いで食べ始め、わずか15分で完食
したのです。
専門家によるとウシは酸っぱい匂いが好きなんだとか。実際に冬は
サイレージ
と言うウシ用の牧草の漬け物を食べているそうです。ならばと、目がテン牧場でもサイレージ作りに挑戦!刈り取った牧草をビニールシートで覆い、上から踏んで空気を抜き、後は2ヶ月程待つだけです。シートで覆うことで、空気の嫌いな乳酸菌が繁殖し、他の菌を寄せ付けなくなり、長期間保存が効く漬け物になるのです。実はこの
乳酸菌が作る酸っぱい匂いが、ウシのお腹の中で起きる、微生物による発酵で出るニオイと似ているため、ウシはサイレージを好むのだと考えられています
。ちなみに牧場のシンボル、サイロもこのサイレージを作るための施設なのです。
牛は冬の間、牧草を乳酸菌で発酵させて漬物状態にしたサイレージを食べているのだ!
ところで、目がテン牧場で育てていた北海道名物のトウモロコシも収穫期を迎えました。早速矢野さんが獲れたてのトウモロコシを食べてみると…なんと全然味がしなかったんです!スタジオで試食した所さんにも、ちっとも甘くないと大不評でした。実はこれ、
デントコーン
と言ってウシなどの飼料用のトウモロコシなんだとか。なぜ牧草以外に、トウモロコシを与える必要があるのでしょう?矢野さんが試験場を訪問してみると、中には1年前のほぼ同じ日に生まれた大きさの違う2頭のウシがいました。実は大きい方はトウモロコシを与えた牛で、小さい方は牧草のみで育った牛だったのです。体重を量ってみると、小さな牛は267kgに対し、大きな牛は372kg。なんと1年で100kg以上の差がありました。実は
デントコーンは、ウシの体を作る際にエネルギーとなるデンプンをたっぷり含むよう改良されたトウモロコシ
だったのです。市販の人間用と比べるとデンプンは13倍もあるのに、糖分はわずか5分の1しかありません。
牧草だけでなく、栄養たっぷりのトウモロコシを与えることで、ウシは大きく育ち、牛乳の出も良くなるんだそうです。
さらにウシにはトウモロコシの他に、タンパク質を含む大豆・麦・綿の種子なども与えるそうです。
さて、牛舎も冬仕様に大改装!その準備は、意外にも牛舎の壁を補強し、風除けのシートを吊るすだけ。しかも、よく見ると片側は大きく開き、吹きさらし状態。しかし、こんな簡素な冬支度でもウシは寒さに強いので大丈夫なんだとか。実はウシは、胃の中にいる微生物が食べたエサを分解する時、発酵熱が発生し胃が熱くなります。つまり、お腹の中に湯タンポを持っているようなものなんです。
牛の胃は、中の微生物がエサを分解する際に、発酵熱が発生し熱くなる。だから牛は寒さに強いのだ!
忘れちゃいけないのが、人間の冬支度。矢野さんはプロの方に手伝ってもらい、
冬を越すための小屋として、男のロマン、ログハウス作りに挑戦!
雪が積もっても対応できるように、土台を地面から50センチほど床を高くし、次に乾燥させたトドマツの皮を剥ぎ表面を磨きます。そしてチェンソーで、丸太と丸太を組み合わせる部分を削り、互いに組み合わせます。しかし、丸太を組んだだけの家で本当に北海道の厳しい寒さを乗り切れるのでしょうか?そこで、
「木材」、「レンガ」、「コンクリート」3つの建築素材で作った箱で断熱性を測定する実験です。
コップに入れた同量の牛乳を各々の箱に入れフタをします。これらを氷点下20℃の冷凍庫に入れ、待つこと7時間、同時にフタを開け、中身を取り出します。すると
コンクリートの箱とレンガの箱に入っていた牛乳は凍ってしまいましたが、木材の箱の牛乳はほとんど液体のままだった
のです。
内部の温度変化を計測してみると、木の箱の内部は最も温度の低下が緩やかでした。実は、木材の細胞の中には穴がたくさん空いていて、この穴に熱を伝えにくい空気が溜まっているため、熱が逃げにくく温度変化が少なかったのです。つまり、
木材は最も断熱効果が高い自然素材だったのです。
そして最後に雪を積もりにくくするための急勾配な屋根を乗せ、扉をつければ立派なログハウスの完成! いよいよ目がテン牧場にも冬が訪れます。