超重ね着(秘)
寒さ
克服法
第962回 2008年12月7日
いよいよ冬本番。寒さも本格的になってきました。そこで今回は、寒さの辛い冬を暖かく乗り切るために、
防寒
対策を徹底的に科学します。
寒さ同様、夏の暑さも大変ですよね。そこで街の人に冬と夏、どちらが辛いか聞いてみると、ほぼ半々に分かれました。そこで、
人の体は寒さと暑さどちらに敏感なのか実験です。
50℃のお湯に浸けた棒と、0℃の氷水に浸けた棒の先端を若者4人の背中に当てて、「冷たい」、「熱い」、「分からない」で答えてもらいます。その結果、
圧倒的に「冷たい」の正解率が高かったのです。
実は、人の皮膚にある、温かさに反応する温点の数は全身で約3万個なのに対し、冷たさを感じ取る冷点は約25万個もあるのです。この理由は、
人類はもともと暑いアフリカで誕生し進化したため、暑さには対応しやすく、逆に寒さは苦手だと考えられています。
ところで、
「子供は風の子」なんて言葉がありますが、子供は本当に寒さに強いのでしょうか?
そこで、スキー場で大実験です。10歳の子供2人と成人男性2人が極寒の雪上で海パン一丁になって、ひたすら椅子に座り続ける我慢比べ対決!結果はなんと、子供達の方が先にギブアップ。
大人2人はその後も15分以上耐え、大勝利でした。実験中の4人をサーモグラフィーで確認してみると、子供の方が大人よりも体表面の温度が早く低下していました。実はこの原因は、子供の体が小さい点にあります。例えば、1辺の長さが20cmと10cmのプラスチックの箱に同じ温度のお湯を入れ、放置すると、大きい箱の方が冷めにくいのです。なぜなら、大きい箱の体積、つまり熱量は小さい箱の8倍ありますが、表面積は4倍にしかなっていないため、表面から逃げる熱量も4倍にしかならないのです。だから
体の小さい子供は大人よりも寒さに弱かったのです。そして、寒さに弱いはずの子供が薄着でも平気なのは、動き回って熱を作り出しているからなのです。
『子供は風の子』と言われるが、実は大人よりも体が小さい分、子供の方が寒さに弱かったのだ!
ところで、女子高校生も、真冬だろうとみんなミニスカートで足を出していますよね。雪が降っても生足を出している北海道の女子高校生に話を聞くと、我慢しているうちに慣れてしまったといいます。本当に慣れるだけで寒さを克服できるのでしょうか?そこで、冬場でも冷たい水場で仕事をする魚屋さんと、一般の方、そして佐藤アナの3人に、10分間冷水に手をつけてもらい皮膚温の変化を比較しました。すると、
魚屋さんの手は冷水に浸かっても温かいままだったのです。
なぜ魚屋さんの手は寒さに強いのでしょうか?実は、通常寒いと血管が収縮し体温が下がります。しかし、寒さに長くさらされ続けると、今度は指先の組織を守るために血流が増え、温度低下を防ぐのです。
寒さは「慣れ」である程度は克服できるのです。
さて、誰もが寒さ対策として、洋服をたくさん着込みますが、
洋服は着れば着るほど暖かいのでしょうか?
そこで、高尾山で清掃活動をしている方々にトレーナーをそれぞれ3枚、6枚、さらには日本人と言えば十二単ということで、12枚の重ね着をしてもらい、山頂を目指してもらいました。そして、登山開始から30分後、服の中の温度を計測してみると、12枚の服の中はなんと30.6度もありました。
やはり重ね着効果は絶大なのか?と思いきや、30分後再び測ってみると、3人の温度は30℃前後とほぼ一緒でした。さらには山頂で最後の計測をしてみても、3人ともほとんど差がなかったのです。
実は衣服の保温性は、服の間に生まれる空気の層によるもので、たくさん重ね着するとその層がつぶれ、大した保温力がみられないのです。
最初に温度が上がったのは、服の重さと動き辛さで、運動量が増えて熱くなっただけの話。つまり必要以上に重ね着しても意味がなかったのです!
寒いからといってたくさん重ね着すると、服の間に生まれる暖かい空気の層を潰してしまうので、必要以上の重ね着は効果がないのだ!
寒〜い冬は何だか人肌恋しくなりますよね?ということは、
寂しいと実際に寒くなるのでしょうか?
そこで、彼女と別れたばかりという寂しい男性に協力してもらい、こんな実験です。部屋を自分で一番心地よいと思う温度にエアコンで調整しながら、30分間過ごしてもらいました。寂しさを紛らわすために大好きな魚の図鑑を見て過ごしてもらうと、最終的に室温は20.8度になっていました。
今度は、ふられた彼女の写真を見ながら30分過ごしてもらったところ、すぐにエアコンを入れ室温はぐんぐん上昇!最終的に25.1℃にまで達したのです。
同じ実験を、愛犬を亡くした女性でも行ってみました。すると、趣味のタロットをして楽しく過ごした時よりも、愛犬の写真を見て寂しい気持ちで過ごしてもらった時のほうが、室温を上げたのです。心理学の専門家によると、
どうやら人間は寂しいと心理的に寒くなったと感じてしまうようなのです。
結果、目がテン流寒さ対策をまとめると、
(1)「常に動き続けること」、(2)「我慢して慣れる」、(3)「必要以上の重ね着をしない」、(4)「寂しくならない」
この4つを実行すれば!?寒い冬も暖かく乗り越えられるはずです。