知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


バレエ特集 姿勢良い訳
第1056回 2010年10月30日


 芸術の秋!目がテンがオススメするのはバレエ!この時期には公演も多く、海外の有名なバレエ団も数多く来日します。そこで今回は、街の皆さんに聞いた、バレエに関する疑問を科学で解き明かします!

 バレエといえば、あらゆる場面で目にする、「つま先立ち」。その秘密を探るため、まずは、プロバレエ団の若手バレリーナの皆さんに協力してもらい、どのくらいの時間つま先立ちで立っていられるのかを計ります。すると…挑戦した5人の内、一番若手の方が30分過ぎでリタイアしたものの、残りの4人は1時間経っても涼しい顔のまま立ち続け、キリがないので実験は終了。恐るべきつま先立ち!トウシューズで立つ所さんならばと、今度は実力者の若手バレリーナに、つま先立ちでの階段上りに挑んでもらいます。その舞台は…東京タワー!果たして展望台までの600段を上りきる事ができるのでしょうか?すると…バレリーナは硬い鉄の階段をものともせずあっさり上ってしまいました。もちろん訓練の成果もありますが、最大の秘密は、トウシューズにありました。スタジオで初めてトウシューズを履いた所さんも、一瞬ですが、つま先立ちに成功!実は、トウシューズの先端は金属・木・樹脂などの固い層でできていて、さらにつま先を包み込む構造になっているのです。

 では、そもそもなぜつま先立ちで踊る必要があるんでしょう?専門家によると、バレリーナはつま先立ちでフワフワとした浮遊感を演出していると言います。そこでこんな実験!街行く人に踊っているバレリーナの映像を見せて、体重が何kgか想像してもらいました。まずは、つま先立ちをせず、ベタ足で踊った映像を見てもらったところ、20人の平均予想体重は46.9kgでした。続いて、違う20人に、同じバレリーナがつま先立ちをして踊っている映像を見せてみると、平均予想体重は42.7kgと、なんと4.2kgも軽く見えていたのです!そもそも、つま先立ちはバレエに登場する妖精のフワフワ浮いた感じを表現するために生み出されました。以来、つま先立ちが主流になり、夢のような世界を表現できるようになったのです。

所さんのポイント
ポイント1
バレエ特有のつま先立ちは、フワフワとした浮遊感のある動きを表現するために生み出されたのだ!

 さらに、浮遊感の演出に一役買っているのが、バレリーナがはいているフワフワとしたチュチュという軽い素材のスカート。そして、もう1つ欠かせないのが、ジャンプ。そこで、バレリーナの方に、普通のジャンプと、足を大きく開く、テクニックを使ったジャンプを跳んでもらい、体の動きを分析できる機械で比較してみました。すると、足を開いたジャンプの方が高く跳んだように見えますが、実際は普通のジャンプと同じ高さだったのです。試しに、街行く40人の方に、この2つのジャンプの映像を見比べて、高さを予想してもらいました。すると、普通のジャンプの平均予想は48.1cmでしたが、足を開いたジャンプは84.4cm。なんと、平均で36.3cmも高く見えていたのです!つまり、バレエのジャンプは、足を大きく開くことで、より空中に浮いて高く跳んでいるように見える錯覚を利用していたのです。

 ところで、バレエと言えば、華麗なターンも見所ですよね。でも、バレリーナはあれだけ回転して目が回らないのでしょうか?そこで実験!遊園地で回転の定番、コーヒーカップを楽しむお母さんと小学生の娘さんに協力してもらい、3人が座る回転イスを60回まわした後で、20m先にあるボタンをどれだけ早く押せるか競ってもらいます。すると…勝ったのは小学生の娘さん。バレリーナは大きくコースアウトし、ダントツのビリという結果に…。なぜ負けてしまったのでしょう?そこで、バレリーナの頭にカメラをつけ、回転の際の視線を見てみると…正面の映像が止まって見える瞬間がありました。これは、出来るだけ正面を向き視線を動かさず、その後一気に頭を回転させているため。さらに、スローで見てみると、頭を回転にさせる時に、目を閉じていました。だからバレリーナは目を回さずに回転できるのです。イスの実験では、一ヶ所を見続けられなかったので目が回ってしまったようです。

 さて、バレリーナといえば、背筋がピンと張り、とても姿勢が良いイメージですよね。そこで、実験!姿勢の良い立ち姿が印象的なホテルマン、バーテンダー、応援団の3人と、地震を体験できる起震機でバランス対決です!ルールはバランスを崩し、足を動かしてしまったらアウト。震度7でも立ち続けるバレリーナ実験は、震度4からスタートし、徐々に震度を上げていくと…震度5強で応援団が脱落。続いて震度6強でバーテンダー、ホテルマンがリタイア。しかし、バレリーナは直立不動のまま。なんと起震機の限界、震度7でも姿勢を全く崩さなかったのです!この理由を専門家に伺うと…バレリーナは、体の奥のほうにあるインナーマッスルという筋肉が発達しているからだそうです。そこで、病院でMRIを使い、バレリーナと、2位だったホテルマンの腰の部分の輪切り映像を比較してみると…バレリーナは、背骨と太ももの骨をつないで姿勢を保つ大腰筋が、かなり太い事がわかりました。バレリーナの動きは、この大腰筋などを必要とする動きが多く、練習で自然と鍛えられるため、姿勢が良いのです。

所さんのポイント
ポイント2
バレリーナは、体幹に近いインナーマッスルが、練習により発達しているため、良い姿勢を保つことができるのだ!




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