中国人
がすぐに怒る訳
第1069回 2011年2月5日
今年の2月3日は、旧正月。中国では春節と呼ばれる、ホリデイシーズン!さらに、近年日本を訪れる中国からの観光客も急増中!そこで今回は、街で尋ねた、日本人が抱く
中国人
のイメージについて科学で迫ります!
街で多く挙がったのは、中国人は列に並ばす、横入りが当たり前というイメージ。それは本当なのでしょうか?そこで、北京のバスターミナルの映像を見てみると…大半の皆さんはキチンと並んでいますが、途中から割り込んで乗り込む人が数名現れたのです。近年は、上海万博の開催に際し、マナー向上運動が行われた成果も現れているようですが、日本よりは割り込みの頻度がやや高いようです。でも、なぜでしょう?中国の文化に詳しい専門家に伺うと、
中国には長い戦乱の歴史があり、競争社会を生き残るために、列に並ぶ習慣がないそうなのです。
ならば、日本人にも競争意識を芽生えさせたらどうなるのでしょう?そこで実験です!保育園児20人にお菓子の入った袋を見せ、「一列に並んで!」と声をかけると、園児たちは一列に並び順番を待ちました。
しかし、10人分でお菓子はなくなり、後ろに並んでもらえなかった園児たちはがっかり…でもこれ、実は競争意識を芽生えさせるための前フリ。実験の本番は翌日!
矢野さんが、昨日と同様、お菓子を持ってきたと伝えると…その途端、子供たちは列を作らず我先にと殺到!並んでという指示も一切聞いてくれません。
子供たちに話を聞くと…昨日もらえなかったからとの答え。数に限りがあると、競争意識が芽生え、日本人でも列を作らなくなってしまうのです。つまり、中国人が列に並ばない理由は、人口が多いので、競争意識が働くためと考えられます。
中国人が列に並ばないというイメージが強いのは、人口が多く、無意識に競争意識が働いてしまうためだった!
さて、他に日本人が中国人に抱くイメージで多かったのが、中国人は謝らないというイメージ。そこで、こんなドッキリ実験で確かめてみます。何も知らない日本と中国の学生に集まってもらい、インタビュー取材という事だけを伝え、一人っきりで取材開始を待ってもらいます。その部屋のテーブルに、「世界一軽いお皿」と表示された、最初から割れているお皿を用意し、その様子を隠しカメラでウォッチング!
すると…日本人学生5人、中国人学生5人の全員が思わず手を伸ばし割ってしまいました。ところが、スタッフが現れた瞬間、日本人学生はとにかく平謝りでしたが、中国人学生は最初から割れていたと主張したんです。
いったいなぜそんな違いが出たのでしょうか?
そこで、ドッキリだと伝えたネタバラシの瞬間に、ほっとした表情を見せる日本人学生の話を聞くと、どうやら、まず謝ることで責任を逃れたいという思いがあったそうです。専門家に伺うと…
日本は謝ると許してもらえる文化なのに対し、中国では、謝罪の言葉を言うことで、賠償金など、重大な責任を負わなくてはならないという風潮があり、軽々しく謝罪の言葉を口にしないそうです。
さて、中国人に日本人が抱いている印象として、中国人はすぐ怒るという声も多く挙がりました。中国人は本当に怒りっぽいのか、中国語の音声学の専門家に話を伺うと…なんと、
中国語の発音のせいで、怒っているように聞こえていることが多いといいます。
そこで実験!中国人の男女が語り合う、ごく普通の会話を録音し、それを中国語のわからない日本人に聴いてもらい、「喜」、「怒」、「哀」、「平常」の札を渡し、どのような会話に感じたかを上げてもらいます。すると、10人中8人が「怒」の札を上げ、怒ったケンカのような会話だと感じたようです。
スタジオで所さんにも聴いてもらうと、やはり怒っているように感じたとの事。しかし、なぜ中国語は怒っているように聞こえるのでしょう?再び専門家に理由を尋ねると、
中国語は日本語に比べ、発音の高低の幅が広く、高い発音を多く使うため、それが、怒っているように聞こえる要因になっていると考えられるそうです。
確かに、日本語でも怒った場合は通常よりも高い発音になりますよね。ならばと、さらに実験!中国のお隣で言語が似ているベトナム人の方々に同じ会話を聞いてもらい、会話から感じたイメージを先ほどの4つの札で上げてもらいました。協力してくれたのは、
中国語のわからないベトナム料理店の店員さん5名。すると…「怒り」を上げた人はゼロ!むしろ「哀しみ」や「平常」の会話だと感じたようです。
つまり中国語は、抑揚が重要な言語なので、抑揚の少ない日本語になれた日本人には、怒った会話に聞こえるようです。さらに、中国語には、声も大きく、話すスピードが速いという特徴もあるため、より怒ったように感じてしまうんですね。
中国語は、音の抑揚やボリュームが大きく、話すスピードも速いため、普通の会話でも、日本人には怒ったように聞こえてしまうのだ!