風呂&トイレ
節約
実験
第1085回 2011年6月4日
世の中に溢れる、エコに関する様々な情報。でも実際に、電気・ガス・水道の使いかたって、どれほどエコに効果があるのかよく分からないですよね?そこで、エコに関する情報を調査、研究する「
目がテン・エコ研究所
」を開設!第一弾の今回は
水回り編
です!
①お風呂の残り湯の「焚き直し」は、「一からの給湯」よりエコなの?
街で30人に聞いた結果、6割の方が、水を「一から入れ直す」よりも、前日に入ったお風呂の「残り湯を追い焚き」したほうが「エコだと思う」と答えました。そこで、実験!まずは、
自動お湯張りのお風呂を42℃に設定。一から浴槽にお湯を張り、設定した量のお湯が溜まるまでの時間を計ってみると…15分8秒かかりました。続いて、水温15℃の水道水を、浴槽に同じ量溜めてから追い焚きすると…42℃になるまで44分12秒と、およそ3倍もかかってしまいました。
つまり、ガスも3倍使ったのでしょうか?そこで、2つの実験前後のガス使用量をメーターの数値で比較してみると…
一から給湯した場合は0.791m
3
だったのに対し、焚き直しは0.848m
3
と、ほとんど差はなく、ガス代は7円増えただけ。一体どうして?
給湯器のメーカーを訪ね、理由を伺うと…給湯器のフタを開け中身を見せて答えてくださいました。
実は、「一からの給湯」する給湯の熱交換器は、「風呂の湯はり、キッチン、シャワー、洗面所」などを兼ねているため、隣にある「追い焚き専門」の熱交換器の3〜4倍ほどの大きさがあったのです。つまり、「一からの給湯」は、たくさんのガスを使って短時間で沸かし、「追い焚き」は少しずつガスを使って時間をかけて沸かしていたのです。
つまり、
先ほどのお風呂では、一から水を入れた場合、水道代がおよそ57円かかったので、焚き直しの方がエコ!
さらに…寒い冬は、焚き直しにガス代がかかりそうですが、42℃のお湯が入った浴槽にフタをして、室温3℃の冷蔵庫に24時間放置し、冬のお湯の温度低下を再現してみたところ…水温は15.3℃までしか下がりませんでした。追い炊きの開始温度は冬でもそこまで低くないのに対し、冬の水道水は8℃前後。つまり、冬の「一からの給湯」のほうが、ガス代がアップしてしまう!なおさら焚き直しの方がエコなのです。
前日の残り湯の追い焚きと、一からの給湯した場合のガス代はほとんど変わらない。つまり、水道代0円の追い焚きのほうがエコなのだ!
②トイレットペーパーの「シングル」と「ダブル」、どっちがエコなの?
街で30人に聞くと、7割の人が「シングルの方がエコ」と答えました。しかし、3割の人は、「シングルは薄いからいっぱい使うので、エコではないと思う」と答えたのです。そこで実験!商店街の一角に洋式トイレを再現し、
普段ダブルを使っている方20人に、普段使うのと同じように、トイレットペーパーを引き出してもらいました。先にダブル、続いてシングルを引き出してもらい、その長さを比較します。そして、皆さんの引き出した平均を比べてみると、ダブルは1m19cm、シングルは1m55cmと、シングルの方が、平均で36cm長いだけでした。
これだけ見ると「シングルの方がたくさん使う」とは言えなさそうですが…人の前だから、正確な結果ではないのかも知れません。そこで、ショッピングセンターで本物の男子トイレを借りて、さらに実験です!清掃員に扮した番組スタッフが2つの個室に2本ずつ、ダブルのトイレットペーパーをセットし、個室に40人入るまでカウント。
その使用量を測定します。まずはダブルの場合、未使用のロールの厚さは3.2cmでしたが、40人が使用後、4本の残ったロールの厚さを測ると、平均は1.75cmでした。続いて、未使用で厚さ3.2cmのシングルで、同様に実験を行うと…4本の残ったロールの厚さの平均は、2.32cm。なんと、シングルの方がたくさん残っていたのです。
さらに、使われた長さを正確に比べてみると、ダブルは70m35cm(2枚重ねのため、実際は140m70cm)、シングルは88m36cmでした。やはり、トイレットペーパーはシングルの方が圧倒的にエコだったのです。
トイレットペーパーのシングルを、ダブルの倍の長さ使う人はほとんどいないので、シングルの方が断然エコなのだ!
③「食器洗い乾燥機」は「手洗い」よりエコなの?
水を少ししか使わず、エコだというイメージの食洗機ですが、街で30人に聞くと、4割以上の人が「上手に洗えば、手洗いの方がエコだと思う」と答えました。そこで実験!クッキングスタジオで、ベテラン主婦3人と新米主婦3人の計6人に、カレーや醤油で汚した、およそ6人分の食器を洗ってもらい、使った水の量を測定します。すると…121リットルも使った方もいましたが、他の皆さんは平均で25〜50リットルほど使用。そして、ひんぱんにお湯を止め、最も節水したベテラン主婦の使用量はわずか19リットルでした。では、果たして食洗機はこの記録に勝てるのでしょうか?
2つのメーカーの食洗機に、手洗い実験と同じ量の食器を入れ、使った水の量を測定してみると…トータル2時間ほどの全工程で、それぞれ12リットルと14リットル。節水上手なベテラン主婦の手洗いを大きく下回りました!
さらに、手洗いも食洗機もお湯を使うので、水道代とガス代の合計金額も計算したところ、それでも食洗機の圧勝!!
しかし、食洗機は電気代が発生するのを忘れてはいけません。そこで、水道、ガス、電気代全ての合計金額を割り出してみると…食洗機にかかる料金は、手洗い実験での主婦たちの平均近くにダウンしてしまいました。食洗機は楽で便利ですが、電気代を加味すると、飛び抜けてエコというわけではないようですので…この勝負は「引き分け」でした!