乗り物酔い
(秘)撃退法!
第1151回 2012年10月20日
行楽の秋。家族とどこに出かけるにも乗り物はかかせません。ですが、ユーウツなのが
乗り物酔い
。楽しさも半減してしまいます。なんとか乗り物酔いを克服できないものか。目がテン!が挑戦。アッ驚く克服法を提案します。「車に酔わない方法」「遊園地で酔わない方法」そして「即効で乗り物酔いが解消できる食べ物」の3本立てです。
①車に酔わない方法
車酔いしやすい人でも「自分で運転している時には酔わない」という人が多くいます。なぜ、運転していると酔わないのか?逆にいうと、運転していないとなぜ酔うのか?そのメカニズムを明らかにする実験をしてみました。
車に酔いやすいという免許を持つ男女3人に、カーブ道路が多い相模湖に集まってもらいました。
まず、約15キロのカーブコースを自分で運転した前後で、唾液に含まれるアミラーゼ活性度を測定。
気分が悪くなり、ストレスが大きくかかると数値は上がるのですが、運転した前後の数値は、3人ともほとんど変化はありませんでした。つまり
車酔いは、みられませんでした。次に助手席に乗って同じコースをドライブ。運転手はプロドライバーで、運転技術は折り紙つき。それでも3人は、ドライブ開始早々から気分が悪いと言い出し、実験直後に測ったアミラーゼ活性度は、大幅に増加。全員が車に酔ってしまったのです。
車内の様子を記録するために取り付けた3台のカメラの映像を分析すると、共通する事実がわかりました。それは、カーブを曲がる時の体の傾き。運転している時は、カーブと同じ方向に体が傾くのに対して、助手席にいる時は遠心力によってカーブの傾きと反対側に体が傾いていたのです。この動きが何か車酔いと関係があるのか?乗り物酔い研究のエキスパートである東京厚生年金病院の石井正則先生よれば、
「乗り物酔いは、三半規管などの内耳で捉えたカラダの傾きと目が捉えたカーブの傾きのズレが脳の混乱を招いて起こる」というのです。つまり運転する場合は、傾きは一致しているのでズレは起きませんが、助手席や後部座席にいると遠心力によってカーブと反対の向きに体が傾くので、脳が混乱を来たして、車に酔ってしまったらしいのです。
であるならば、いつも運転手と同じ方向にカラダを傾けていれば、酔わないという理屈になります。
そこで、さらに実験してみました。
2つのヘルメットを棒でつないだ、名づけて『ドライバー連動ヘルメット』を用意。先ほどの3人にこれを被って、もう一度助手席に座ってもらいました。これでカラダの傾きは、ドライバーと同じになります。実験の結果は、男女2人の唾液アミラーゼ活性度は、乗車前と変わらず、車酔いを防ぐことができました。
ある程度の効果があるようです。ただし、これはあくまで実験。安全運転の妨げになる恐れがあり、一般公道では使えませんので、念のため。ただ、石井先生によれば、
「助手席や後部席でも、自分が運転している気持ちで、ドライバーと動きを合わせるだけでも、車酔いを未然に防ぐ効果が期待できる」
ということです。とはいっても助手席で派手に空ブレーキを踏まれると、運転する人の気も散るでしょうからほどほどに。
乗り物酔いの原因は、カラダの傾きと目が捉えた傾きのズレによる脳の混乱なので、酔いを防ぐにはドライバーと動きを合わせて自分も傾くのがコツなのだ!
②遊園地で酔わない方法は?
遊園地の絶叫マシーンは、大好きという人と苦手という人に真っ二つに分かれます。その原因は、酔っちゃうこと。ジェットコースターなどの絶叫マシーンに乗っても酔わなければ、遊園地はもっと楽しくなるはず。実際、目がテンスタッフの中には「ジェットコースターに乗る、乗らない」を巡って恋人と別れちゃったという悲しい経験をした人もいました。乗り物酔いは、目から脳に入ってくる情報と内耳からの届く情報の不一致による脳の混乱が原因と分かったので、こんな実験をしてみました。
ジェットコースターは苦手という男女3人と酔ったことはないという男女3人に計6人全員にアイマスクをしてもらってジェットコースターに乗ってもらいました。目を隠せば、目からの情報はなくなり、脳の混乱は起こらないはず・・・
ところが、苦手の3人はもちろん、酔ったことはないという3人までが気分が悪くなってしまいました。
石井先生によれば、
「脳に届く情報のズレはなくなりましたが、逆に目をふさいだことで、自分がどこにいるのかわからなくなって、不安感が増し、それが脳を混乱させ、酔ってしまった」と思われる
というのです。では、遊園地で酔わない方法はないのか?石井先生は、「ヘッドレストなどに頭をしっかりつけ、なるべく頭を揺らさないようにして、進む方向をしっかり目で確かめながら乗れば大丈夫かも・・・」と言います。そこで
ヘッドレストとヘルメットを固定した頭固定法で再度実験したところ、大成功。6人全員が酔わず、苦手という人も「初めて楽しく乗れた」と喜んでくれたのです。
さらに、頭固定法は、他の乗り物でも有効なのか確かめてみました。石井先生の調査による酔いやすい乗り物上位1、2位でトライ。その結果、第2位の「バイキング」では有効。第1位の「コーヒーカップ」では、まったく効果がありませんでした。石井先生は、コーヒーカップは、外と中と二重の回転が加わるので、「もうどうにもならない」ということでした。コーヒーカップに乗る場合は、覚悟の上、ほどほどに回すしか方法はないようです。
③酔ってしまった!即効で乗り物酔いが解消できる食べ物
乗り物に酔ってしまっても、即効で酔いを解消できたら・・・・そんな夢見たいな方法がないものか過去、目がテン!はいくつかの方法を提案しましたが、今回は
携帯できて一発で乗り物酔いが消える食べ物がないものかを調べてみました。
三たび東京厚生年金病院の石井先生のもとへ。
「吐き気を感じている時は、自律神経の内の副交感神経が優位になっています。ですから、その反対、交感神経を活発にすれば、理屈でいえば、吐き気はおさまります。即効でということであれば、瞬間的に大量の汗をかくことができればいいかも・・・」
という話。食べて瞬間的に大量の汗をかけるもの?ありました。「唐辛子」です。
そこで乗り物酔いする最強の乗り物、船で実験です。協力してもらったのは船が苦手という男女6人。出港してまもなく、停船。うねりに任せて海上を漂いました。船酔いしやすい最悪の状況。吐き気がすると申告した人に、説明なしに赤唐辛子1本を食べてもらうと、一瞬で発汗、3分後吐き気について聞くと、赤唐辛子を食べた全員、吐き気がおさまりました。
唐辛子の効果は絶大でした。しかし、激辛の唐辛子は、正直ちょっと厳しいものがありますね。まして子どもには唐辛子はムリ。子ども向きには、発汗作用のある「しょうが紅茶」を甘くして飲ませるのも効果がありそうです。いずれにせよ。目がテンは、今後も乗り物酔い克服法にトライしていきます。何かいいアイデアがあれば、お寄せ下さい。
乗り物酔いの解消は、瞬間的に汗をかくこと。赤唐辛子1本で、吐き気はおさまるのだ!