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オンチ克服法の科学
第1156回 2012年12月8日


 カラオケは日本人発の大ヒット商品です。
 家族や友人とカラオケを楽しむ人も多く、今では宴会の2次会の定番と言えるほどにどこにでもあるアミューズメントです。でもカラオケが苦手、嫌いという人も少なくありません。
 いわゆる歌に自信のないオンチな人たち。こんな方々にとって忘年会シーズンはユーウツそのもののはず。でも、ご安心を。「目がテン」が科学でオンチ克服に挑戦します。
 専門家によれば、そもそもオンチは、大きく3つの型に分かれるのだそうです。
 「音程型オンチ」・・・うまく歌っているつもりでも、無意識に音がはずれている人。
 「音域型オンチ」・・・高い声が出ない、声が裏返ってしまう人。
 「リズム型オンチ」・・・リズム感が悪く、いわゆる調子っぱずれの人。
 これらが、単独だったり、複合したりしてオンチになっているのだといいます。
 今回は明日から使える3つのオンチ克服法をお届けします。

①無自覚音程オンチは、耳栓で歌え?
 まずは理屈から。自分の歌声や話し声は、「気導音」と「骨導音」がミックスされて聞こえているってご存じでしたか?のっけから「?」「?」ですね。
 耳に届いている音には、空気を伝わって聞こえてくる音と自分の頭蓋骨を伝わって聞こえてくる音の二種類あって、それがミックスされているのだそうです。
 録音された自分の声を聞いた時になんか声が違うと感じたことがあると思いますが、それは、気導音だけを聞いているからなんです。
 歌うときは、聞こえてくるカラオケ(気導音)と自分の声(骨導音)の音程を微妙に調整しながら歌うことでウマく歌えます。
 音程オンチと思われる人の多くはこの骨導音を上手に聞くことができず、音程を調整できないと専門家は指摘します。
 では、どうすれば骨導音が聞こえるようになるのか。秘密兵器は「耳栓」でした。
 片方に耳栓をして歌うだけで、骨導音が聞こえるようになり、オンチを克服できるというのです。
 果たしてその効果はどの程度なのか?
 さっそく盛り上がっているカラオケ店を直撃。無自覚音程オンチと思われる方々に協力していただいて検証してみました。この結果は、皆さん見違えるように音程が取れるようになり、オンチだったの?と思えるほどに改善しました。

②音域型オンチにはレスリングが一番?
 自分の声と音域が合わない歌を歌うと高音が出なかったり、声が裏返ったりすることも多いと思います。それがひどくなって、音程自体がバラバラになってしまうのが音域型オンチです。
 意外に多いタイプなのですが、それには、レスリングが有効という専門家がいました。
 なぜ、オンチにレスリング?
 半信半疑で普段高い声が出ないというオンチな男女(各3人)6人を拓殖大学レスリング部に一日体験入部させ、みっちり汗を流してもらいました。
 そして、練習マットの上でカラオケチェックです。
 課題曲は、女性が中島美嘉の「雪の華」、男性が平井堅の「瞳をとじて」。いずれもサビの高音が難しい名曲です。果たして高音が出るようになったのか?
 レスリング部員が取り囲む中、レスリングの基本姿勢である前屈みのポーズで歌ったところ、6人全員が高音を出せるようになり、音程もしっかり取れていました。
 音域型オンチにはレスリング。この説はホントでした。
 でも、なぜうまく歌えるようになったのでしょうか?
 別の専門家によれば、前屈みの姿勢でお腹に力を入れると、横隔膜が引っ張られ、声帯がピンと張るのだそうです。そこに息が通ることで声帯が振動し、高音が出るようになるという理屈なんだとか。ギターの弦を張れば張るほど高い音になるのと同じ理屈です。
 ここぞという高音の時にお腹を押さえながら、前屈みで歌うアーティストも見かけます。
 これも原理は同じで、伸びやかに高音を出そうという姿勢だということができます。

②リズム型オンチには窓拭きがオススメ?
リズム感の悪い人が歌を歌うとまるで別の曲のように聞こえます。
 しかもリズム感が悪いと音程までとれなくなってしまって、もう収拾がつかなくなります。
 しかし、リズム感は生まれつきという部分もあり、なかなか一朝一夕では身につきません。
 ですが、特定の曲のリズムを繰り返し、カラダに覚えこませれば、少なくともその曲は、ある程度歌いこなせるようになるというのです。なるほど全ての歌をうまく歌えなくても、好きな歌、十八番にしたい曲のリズムをカラダに覚えこませれば、もうカラオケも恐れるに足りません。

 リズムをカラダに覚えこませる方法として専門家が勧めてくれたのが、「窓拭き」。
 曲のリズムに合わせて、窓を拭くことで、歌うときに自然に曲のリズムが取れるようになり、音程まで合ってくるというのです。
 窓もキレイになり、歌もうまくなれば一石二鳥ではありますが、そううまくいくものなのか呆れるほどのリズム型オンチの男性3人で検証してみました。
 課題曲は、GReeeeNの「キセキ」。カラオケ定番の大ヒット曲です。
 念のため、検証前に3人に歌ってもらいましたが、これが大変。
 「キセキ」と似ても似つかない歌になってしまいました。
 この状態をスタートラインに、「キセキ」のリズムに合わせて、窓を拭くこと1時間。
 果たして効果があったのか、すぐに歌ってもらったところ、3人とも驚きの大変身。
 奇蹟のようにちゃんと「キセキ」が歌えるようになったのです。
 3人ともエア窓拭きをしながら、正しいリズムを刻み歌っていました。
 見た目はちょっと不思議な光景ではありましたが、窓拭き特訓の効果は絶大でした。



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