フィギュアスケート
の科学
第1213回 2014年2月9日
今回は、フィギュアスケートの楽しみ方を科学します!
①フィギィアスケートの秘密!どうやって回転数をコントロールしてる?
ソチオリンピックの日本男子フィギュアのシングルでメダル獲得のキーポイントとなるのが『4回転ジャンプ』。その4回転ジャンプで高い成功率を誇っているのが、19歳の羽生結弦選手!この羽生選手は、4回転だけでなくトリプルアクセルなど難易度の高いジャンプに回転数の違うものを組み合わせて連続ジャンプを跳んでいるんです!組み合わせを変えて加点の要素にしているため回転数を間違えたら大変なんです!では、一体どうやって、回転数をコントロールしているのでしょうか!?そこで、1992年のアルベールビルオリンピックで、女子として世界で初めてトリプルアクセルを成功させた伝説のスケーター伊藤みどりさんにその秘密をお聞きすると「手のしめ方で変わってくる」とのこと。そこで実際に2種類のジャンプを見せて頂きました!
まずは、1回転のジャンプ。続いて、2回転のジャンプ。2つのジャンプをスロー映像で見てみると、1回転のジャンプは、両腕を輪のように広げて跳んでいます。2回転のジャンプは両手を胸の前で閉じた形で跳んでいます。一体どういうことなんでしょうか?そこで、ユージが固定した回転イスに座り、手足を広げた時と閉じた時で回転するスピードはどう変化するのか確かめました。たしかに、手足を広げて回り始めた時より手足を閉じてからの方が回転するスピードが上がりました!一体なぜなんでしょうか?
スポーツバイオメカニクスの専門家によると「跳びあがった時の空中では角運動量が保存される、という物理の法則があります。角運動量というのは回転の勢いと考えてください。頭から腰の方へ抜ける回転の軸があるんですけども、手足を離せば慣性モーメント(回転しにくさ)が大きくなります。慣性モーメントが大きくなると、回転は遅くなる。手足を近づけてくると慣性モーメントが小さくなるんで、回転は早くなります」。
スケート選手は、手足のしめ方によってジャンプの回転数をコントロールしていたのだ!
②フィギィアの秘密!浅田真央選手の凄いジャンプを徹底解明!
女子選手が、難易度の高いトリプルアクセルを跳ぶには、男子にも劣らないジャンプ力と筋力、そして脚力が必要なはず。そう思って伊藤みどりさんと浅田真央選手の2人の脚の筋肉を見てみると、伊藤さんと浅田選手、2人の筋肉のつき方はかなり違うようです。伊藤さんに聞いてみると「真央ちゃんはどちらかというと走り高跳びのほうですね。回転力が速いので、走り高跳びでもグッて回って3回転半をまわっていますね。私の場合は、走り幅跳びのように跳んでる。」とのこと。
跳び方の違いは、筋肉のつき方にも影響を与えるんでしょうか?専門家に伺うと「ジャンプの場合は3つの関節、足首・ヒザ・股関節これを伸ばして跳ぶわけですけども、選手によってはヒザに大きな負荷をかけてヒザを大きく曲げて跳ぶようなタイプと、ややヒザに負荷を減らしてヒザを浅く曲げておいて股関節を上手に加える事で跳ぶタイプの選手と、二通りのタイプがいるものと思われます。」
まず、ヒザを使って跳ぶ場合。太ももの前側にある大腿四頭筋が、ヒザ関節を伸ばすことでジャンプします。その為、大腿四頭筋に負担がかかり太く大きくなるのです!
もう1つは、ヒザと股関節を使って跳ぶ場合。股関節は、腰と脚のつながる辺り、この位置にあります。股関節を伸ばすハムストリングという筋肉は太ももの後ろ側にあり、ヒザ関節を伸ばす大腿四頭筋と分担して作用するので、大腿四頭筋が太くならないのです。改めて2人のジャンプを比べてみると、浅田選手は上体を曲げ股関節の筋肉も使って真上に高く跳んでいるのがわかります。股関節の筋肉を使うだけで、本当に高く跳べるようになるんでしょうか!?さっそく実験です!
男女5人ずつに2種類の跳び方で垂直跳びをしてもらい、高さを計測します。まずは、上体はまっすぐのままヒザを深く曲げて跳ぶ、ヒザを伸ばすジャンプ。続いて、上体を倒し、ヒザは浅く曲げたところから跳ぶ、ヒザと股関節を伸ばすジャンプ。すると・・・股関節をのばす動きを加えただけで6cmもアップしたんです!全員の結果を見てみると…10人中8人がアップしたんです!
ちなみに股関節を一緒に使うことで運動効率がアップするのは、階段を上がる時などの日常生活でも言えることなのだ!
③フィギィアの秘密!印象的なメイクに隠された効果とは?
バンクーバーオリンピックの金メダリストキム・ヨナ選手。普段は素顔に近い感じなのに、本番当日、リンクの上では目尻を上げるように描くことで、「007」のボンド・ガールのように、かっこよくて意志の強い、小悪魔的なイメージを作り出したと言われています。目元のメークでかなり印象が変わったキム・ヨナ選手のように、フィギュアスケートのメークは濃いというイメージがありますが、なぜでしょうか?浅田選手を始め、多くの選手たちにメーク指導を行っているという化粧品メーカーの方に伺うと「芸術性のあるスポーツっていうとシンクロナイズドスイミングとか、そういったスポーツに比べるとフィギュアのメイクっていうのは非常に薄く感じると思います」。たしかに、シンクロナイズドスイミングや新体操と比較してみると…フィギュアスケートのメークは薄いようです。表現力や芸術性を求められる点では同じはずなのに、競技によってメークの濃さが違うのは一体なぜなんでしょうか?
「シンクロは審査員と席が遠かったりするのでメークが強かったりするんですけど、フィギュアは審査員席と近いので違和感を与えてしまうっていう場合もあるんです」。
そこでロンドンオリンピックの映像を見てみると…新体操の場合、審査員席まで約15mも離れていました。そしてシンクロナイズドスイミングは、最も近い距離でも約20m!かなり距離が遠いようです。そしてフィギュアスケートの場合は、わずか1m20cmという近さ!フィギュアスケートの選手は、他の競技と違って審査員席に近くなるので審査員に違和感を持たれないようなメークをしていたんです!
メークの仕方によって審査員が受ける印象も違う!といいますが実際どのくらい、影響があるのか?後藤アナが、メークのパターンを変えて実演販売!販売するのはこちら、パイナップルスライサー。くるくる押して引き抜くだけでパイナップルをカットできるという便利グッズです。プロの実演販売士の方に、グッズの使い方やセールストークなど、しっかりご指導頂きました!
まずは、ナチュラルメークのまま挑戦!結果、90分間で売り上げたのは…4個!続いては、フィギュアのメークで挑戦!選手たちにメーク指導をしている石井さんにご協力頂き、フィギュア選手のようにメークしてもらいました。目尻のアイラインを長く描くことで、目がぱっちりして全体に明るい印象に。結果、売り上げたのは、3個でした。続いて、シンクロ選手のメーク。パイナップルに合わせトロピカルなイメージの色使い。同じ売り場に立つと…お客さんたちはみな、売り場に近づくこともなく次々と通り過ぎていきます。結果、90分間でなんとか1個を売り上げました!
3パターンのメークのうち、ナチュラルメークが1番多いという結果に。表現力が増し、相手との距離感も適しているはずのフィギュアメークより、ナチュラルメークの売り上げが良かったのは一体なぜなんでしょうか!?社会心理学の専門家によると、距離がより近い実演販売は、ナチュラルメークの方が相手に心を開いている印象になったようです。
フィギア選手のメイクは、近くにいる審査員に効果的にアピールできる濃さなのだ!
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