道後温泉はかつては聖徳太子が入浴したといわれ、有馬温泉などと並んで日本最
古の温泉のひとつ。夏目漱石の坊っちゃんの舞台としても知られ、かつてはウマな
どの家畜も入浴するところがあったといわれています。ところが、周辺の開発など
でお湯の量が激減!湧き水のように噴出していた温泉が止まってしまったのです。
そこで、現在はポンプで汲み上げ、温泉として利用しているのです。
源泉でのお湯の温度を測定してみると、50度程度。ちょうど温泉として利用しや
すい温度です。しかし、よく考えてみると、別府・草津など有名な温泉地では、
100度近くの温泉が沸いています。しかも、温泉地には火山が付き物なのに、道後に
は火山がない!実は、火山のマグマを熱源とした火山性温泉とそうでない非火山性
温泉があり、非火山性温泉では、地球そのものが持っている熱・地熱を熱源として
いるため、程良い温度の温泉となるのです。
道後温泉に入浴してみると、すぐに分かるのがそのヌルヌル感。実は、ヌルヌル
するのはアルカリ性泉だけ。日本に多い酸性泉では、体験することができないので
す。アルカリ性泉に含まれている成分が、皮脂と結合して石けんと同じよう
な成分ができ、それがどんどんまわりの皮脂を溶かしていくため、ヌルヌル感が出
るうえ、汚れも落ちるのです。古くからアルカリ性泉が美人の湯と呼ばれて
いるのには、理由があったのです。ところが、皮脂は完全な汚れというわけではな
く、皮膚を乾燥から守るという役割もあり、無くなってしまうと一時的に皮膚病に
なってしまうこともあります。そこで、試しにスタッフが長時間入浴し、アルカリ
性泉にどのくらい皮脂が溶け出すのか見てみます。すると2時間入浴後、皮脂はほ
とんどなくなってしまったのです。
| アルカリ性泉に長時間入っていると、皮脂を奪いすぎてしまう! |
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温泉の料理といえば温泉卵。半熟卵とは逆に、白身がとろりとしているのに、黄
身は固まっています。別府などでは、100度近い温泉に卵をつけて温泉ゆで卵をつく
っているのですが、これではゆで卵になってしまい、いわゆる温泉卵ではありませ
ん。そこで、とりあえず道後温泉に生卵をつけてみたところ・・・温泉卵が出来な
い!(あたりまえ)。かといってお湯ではダメ。実は、お湯の温度が重要で、65〜
70度ぐらいに保つのがポイントなのです。これは、黄身と白身のタンパク質の凝固
温度が異なるためで、黄身の方が凝固温度が低いため、65〜70度でじっくり時間を
かけて茹でてあげれば、黄身だけ固まるのです。
温泉では石けんがあまり泡立たないのが常識。体を洗うとなると、相当量石けん
を使わなくてはなりません。ところが、道後温泉で石けんを使ってみると・
・・おや、泡立つではありませんか!なんと酸性泉では、石けんは酸と反応
して沈殿してしまうのですが、アルカリとは反応せず、立派に泡立つというわけで
す。しかし、アルカリ性泉が皮脂を奪うのは先程述べたとおりですが、石けんも皮
脂を奪います。つまり、ダブルパワーで必要な皮脂まで落としてしまうというわけ
なのです。
| アルカリ性泉では必要以上にゴシゴシ体を洗ってはならない! |
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浴衣も温泉には欠かせない風物詩のひとつ。しかし、あんな薄い着物で湯冷めは
しないのでしょうか?しかも、どうやらその秘密は炭酸ガスにあるらしいのです。
炭酸ガスといえばやっぱりコーラ。そこで、スタッフがホットコーラとお湯に腕を
つけ、10分間耐え、血流量の変化を測定してみます。すると、お湯よりホットコー
ラほうが、血流量の減りが少なく、血行が良いのが分かります。実際には体には感
じませんが、多くの温泉にも炭酸ガスが含まれており、湯冷めを防いでいるのです。
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