日本人とドジョウのかかわりは深く、江戸時代、すでに高級魚だったウナギに代わって、庶民的な食材として大衆に愛される存在でした。ところが、ドジョウの学名は、ウナギのしっぽの部分、という意味。見た目もそっくりで、まさに、ウナギの子供のようなもの。でも、実はぜんぜん違う種類の魚なんです。
完全にウナギの陰に隠れてしまった感のあるドジョウ。いまや、ドジョウの取引高は、全盛期のわずか1割程度。しかも、農薬のため激減してしまい、その中心は養殖と輸入が中心なのです。そこで、矢野さんが数少ない天然のドジョウを求めて、やってきたのは群馬県。ドジョウを捕って25年の名人に入門です!名人が用水路や小川に仕掛けた「うけ」と呼ばれる網を見てみると・・・うじゃうじゃと天然のドジョウが
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ドジョウとウナギはいったいどこが違うのでしょうか?そこで、淡水で一緒に元気に泳いでいるウナギとドジョウを、思い切って海水に移してみます。すると・・・ウナギには目立った変化がないのに対し、ドジョウはもんどりうって苦しみ始めたではありませんか!遠洋で生まれて日本にやってくるウナギに対して、ドジョウは一生を川で終えます。つまり、海水に適応することが出来ないのです。
ドジョウの産卵は、4月下旬、田植えが始まる頃に行われます。水面近くで、オスのドジョウがメスのドジョウに体を巻き付けていれば、それが産卵行動。巻き付くことによって、卵を絞り出し、その上に精子をかけているのです。1回の産卵期中、100回もの産卵を通じて産み落とされるのは、約一万個の卵!それから2年の月日をかけて、一人前のドジョウになっていきます。その成長の過程で大切なのは、ドジョウのヒゲ。実は、ヒゲには、味蕾という味を感じるセンサーがあり、舌のようにエサを見分けているのです。
| ドジョウのヒゲは味を感じるセンサーなのだ! |
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ドジョウとウナギ、そしてフナをほとんど水のない容器に移して、その変化を見てみます。普通の魚のフナは、すぐに口をパクパクし始め、あっという間に限界に達してしまいました。一方、ウナギとドジョウは全然平気。いったいどうしてなのでしょうか?ウナギは普通の魚がしているエラ呼吸の他に、皮膚から酸素を取り込む皮膚呼吸が出来るのです。つまり、体が濡れてさえいれば、皮膚呼吸で呼吸していけるのです。それに対し、ドジョウの場合、海洋と淡水の両方で暮らすウナギと違って、その生活の基盤は不安定な日本の淡水環境。そのため、たとえ干上がってしまった田圃や沼でも暮らしていける方法があるのです!それは腸呼吸と呼ばれるもの。ドジョウをよく見ていると、お尻からおなら、いや、泡のようなものを出しています。ドジョウは口から空気を吸い込み、毛細血管の集中している腸でガス交換を行い、泡として二酸化炭素を出していたのです。
| ドジョウは腸でも呼吸ができる! |
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