その昔、日本がまだ鎖国をしていた江戸時代。不完全な地図しかなかった時代に、完璧な日本地図を作り上げた人物がいました。その人物の名は「伊能忠敬」。16年かかって日本全国を歩測、現在の地図と比べても遜色ない地図を作り上げたのでした。その貴重な地図の一部が去年発見され、今年が没後180年ということもあり、密かに注目を浴びているのです。
今回、地図作りに挑戦するのは都内の小学校の生徒たち。小学校の敷地の地図を作ろうというのですが・・・そもそも、そんな長い距離をどうやって測ればよいのでしょうか?伊能忠敬は歩測、つまり歩幅を計り、歩いて距離を測ったと言われています。そこで、歩測がどれだけ正確に距離を測れるのか、各々歩くことには自信のある人たちに集まってもらい実験です。参加したのは、走り幅跳びの選手・短距離走の選手・ファッションモデル・歩け歩け協会の人・陸上自衛隊のレンジャーの5人。歩幅を計った後、約180mのジグザグコースを歩いてもらい、何歩で歩いたかを数えて距離を計算してみます。すると・・・なんと一番正確なのは歩け歩け協会の人!測定してみると、歩幅に1cmのズレもありません。普段からリズム良く歩いているのが勝因のようです。
| 歩測は訓練すれば意外に正確な方法! |
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生徒の中で一番歩幅の正確な人を選び、早速地図作り開始です。ところが、学校の建物やグラウンドは正方形や長方形などの決まった形をしていないため、距離は分かっても、門や木などの相対的な位置関係を地図に表すことが出来ません。そこで、伊能忠敬が使った角度を測る方法にチャレンジ!それは方位磁石を用いて、常に北との角度を測定していくというもの。手作りの道具で、こつこつと測定しなくてはなりません。
遅々として進まない地図作り。伊能忠敬ですら一日に10kmほどしか測量できなかったといいます。しかしさらに、そこに障害が!生徒の目の前に横たわるのは幅の広い川!これでは歩いて距離を測ることは出来ません。そこでまずは、石にヒモを付けて投げるという方法にチャレンジ。ところが、向こう岸まで届かない!泳いで川を渡るという最終手段は別として、他になにか良い解決方法はないのか?伊能忠敬が使っていたのはなんと三角定規のようなもの。川の向こう側の1点とこちら側の2点がちょうど大きな直角二等辺三角形を作るように定め、川幅と同じ長さになるこちら側の辺を測定するのです。
丸一日を費やし、ようやく広い校舎・校庭を測量し終わった生徒たち。1000分の1ほどの大きな地図ができあがりました。そこで、プロに航空測量してもらった地図と比較して答え合わせをしてみると・・・生徒の目は真剣そのもの。なんと、若干狂いが見られるものの、ほとんど同じ!子供たちの地図作りは大成功です。
日本全国を測量し終えた伊能忠敬、しかし、彼は全部の地図をつなぎ合わせようとしてどうしてもうまくいかず、あるミスに気づいて愕然としたといいます。測量は正確だったのに起こったミスとは?実は、もともと球体である地球を平面である地図に写し取ることは、自ずから歪みが生じる作業なのです。
| どんな地図にも必ず歪みがある! |
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