久々の登場となった矢野左衛門。今回のことのおこりは、矢野左衛門が長年ほったらかしにしていた倉の掃除をしていたときのことでした。矢野左衛門の頭の上に何かが降ってきた!よくよく見ると、それはいわくありげな古〜い箱。すわ、これはご先祖さまのお宝か!と小躍りして喜んだものの、なんと箱は箱根細工で出来ており、簡単には開かないのです。そこで、矢野左衛門が思い出したのが、X線。なんだか分からないけれど、箱を壊さなくても中身を見ることが出来そうだ!ということで、いざX線分析に挑戦!
そもそも、X線が発見されたのは、今から104年前のこと。レントゲン博士が実験中に偶然発見しました。最初に撮ったX線写真は妻の手。この研究によって、レントゲン博士はノーベル物理学賞を受賞しました。X線とは、太陽の光と同じ電磁波の一種で、可視光線や紫外線よりもさらに波長が短いため、当然目で見ることは出来ません。でも、身の回りには、空港でのセキュリティ検査をはじめとして、文化財の分析まで、様々な形で利用されています。でも、X線は大気に遮られ、地球上にはほとんどやってきません。人工的に発生させるには、真空に保った管の中でフィラメントに電流を流した状態で、さらに高い電圧をかけて、電子を飛び出させ、X線を発生させるのです。
なにはともあれ、例の箱根細工の箱をX線で撮影してみることにした矢野左衛門。普通、可視光線は物質にぶつかり反射・吸収されてしまうのですが、X線は波長が非常に短く、なんと物質の間を通り抜けてしまうのです。だから、いろんなものが透けて見えるのですが・・・でも、肉は透けるのに骨や金属はどうして透けないの?実は、金属や骨なども透けてはいるのですが、肉などよりも物質の密度が高いため、よりX線を通しにくい、つまり透けにくいのです。そこで、X線の量を調節することによって、肉は透けても骨は透けないようにしているのです。
| 究極的にはX線はどんなものでも通り抜けてしまう!
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箱の中身が見えるには見えたものの、平面的なX線写真ではいまいちよく分かりません。そこで、次なる刺客として番組でも同じみのCTスキャンで挑戦。CTスキャンは、X線を細かく照射して、人体などの輪切り映像を作り、3D化することができるすぐれもの。箱を分析してみたところ、な、なんと中には小判が!喜び勇んで懸命に箱根細工にチャレンジした矢野左衛門。なんとか開いたものの、この小判は果たして本物?そこで、またX線のお世話になることに。X線回折という方法を用いれば、含まれている金属の割合が分かってしまうというのです。分析の結果、矢野左衛門の小判はなんと金がほんの少ししか含まれておらず、メッキだったのです。
健康診断で胃のX線写真を撮るときに必ずお世話になるのが、バリウムという白い奇妙な物質。あんなものがいったいどんな役割を果たしているというのでしょうか?バリウムはX線を通しにくい密度の高い物質。一緒に飲む発泡剤で胃を膨らま
せ、身体をゴロゴロさせることによって、胃の中全体にバリウムを行き渡らせるのです。
| ゴロゴロさせられるのも、ゲップしちゃいけないのも、きれいに胃のレントゲンを撮るための試練なのだ!
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