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百鬼夜行抄

2007年1月期 黄金の舌
ストーリー

「闇からの呼び声」

2007年2月3日放送

飯嶋家は古い住宅地にある。最近では珍しくなった木造の日本家屋だ。

この家の持ち主・飯嶋伶は小説家でペンネームを飯嶋蝸牛といった。怪奇幻想小説家として名を知られ、妖怪変化を好んで書き、自らも妖怪世界に行き来していた。そんな蝸牛も十数年前に死に、今では孫の律、その父・孝弘、母・絹、祖母の八重子が4人で暮らしている。

ある日、13年ぶりにいとこの司が飯嶋家にやって来た。律は司を見て驚く。それは年頃になった司が見違えるほどきれいになったからではなく、何かが憑いているからだ。
「この家に妖魔が入ってきたぞ」
そう律に語るのは父・孝弘だが、実は律の本当の父はすでに死んでおり、律の命を18歳まで守るためにその体に取り憑いている妖魔・青嵐だった。このことは律しか知らない。そのため性格は人間離れしていて、絶えず食べることを考えている。

司は小さい頃に背中にできた痣を気にしていて、そのせいで髪を必要以上に伸ばし、陰気な雰囲気を漂わせていた。その夜、律は正体不明の妖魔に命を狙われる。寸での所で律は妖魔を木刀で殴りつけたが、手負いの妖魔は司の泊まっている部屋に向かった。司の部屋について見ると、司の痣が無い。そこに妖魔が現れ司の体に入ると、痣が元通りになった。司の痣は妖魔が体に住み着いて出来たものだったのだ。

孝弘(青嵐)が司に小さい頃から取り憑いている妖魔は、もとは律の命を狙っていたのだと語り出す。それが果たせず、司に取り憑いたのだと。そして、次の晩また命を狙われる律だったが…。

 

「目隠し鬼」

2007年2月10日放送

絹(いしのようこ)が開いている茶道教室の生徒の中に、背後に黒い影が見える赤い着物を着た少女がいた。いやな予感がした律(細田よしひこ)はその少女を探すが見つからない。

律が寝ていると「鬼さんこちら、手のなる方へ」という声が聞こえてくる。導かれて部屋に入ると、誰かに襲われ、右目が見えなくなってしまう。医者に言っても原因がわからない。孝弘(渡辺いっけい)は着物の少女が律の目を奪ったというが、命に別状はないからといって助けてくれない。

そんな中、律は、蝸牛(山田明郷)が“荒川珠代”という名前を書く夢を見た。お見舞いにきた司(酒井彩名)は、少女のことが気になり、幼いころ目隠し鬼をしたことを思い出す。それを聞いた律は、みんなで目隠し鬼をすることに。

鬼になった律は、「鬼さんこちら…」という囃声の中から少女の声を探し捕まえて「荒川珠代ちゃんだ!」と叫んだ。すると、「あ・た・り…返してあげる」と言われ、律の視力は回復した。女の子は、やはり目隠し鬼遊びをしている珠代の霊だったのだ。

珠代の霊が目隠しの相手を絹や司に換えようとする中、律は、八重子(市毛良枝)の話から、蝸牛が少年時代に仲良くしていた荒川珠代、幸代という姉妹のことを知った。そして、茶道教室の生徒・日高澄子が、幸代の孫だということが分かった。澄子の話を聞いて飯嶋家まで来てくれた幸代は、すぐさま珠代にまつわる悲しい話を明かした。

それによると、その昔、幸代と生まれつき片目の悪かった姉・珠代が自宅の蔵の中で目隠し鬼をしている時、火事が発生。燃え盛る炎に珠代が飲み込まれるのを見た幸代は、何も出来ずに蔵から逃げ出した。蝸牛は、葬式の際、珠代に向かって、寂しかったら遊びにおいで、と言った。どうやらその言葉を覚えていた珠代の霊は、澄子を幸代と間違えて、飯嶋家に遊びに来たらしいのだ。

事情を知った律は、珠代の霊を鎮めるため、幸代にあることをさせて――。

 

「桜雀」

2007年2月17日放送

飯嶋家の近くにある長谷川家の主人が突然亡くなった。実は、その隣家の秋山家の主人と境界線近くにある大きな杉の木を巡って喧嘩し、長谷川家の主人がその木を切り倒した直後だった。まもなく秋山家の主人も亡くなった。焼香に行った絹(いしのようこ)は、秋山家の主人に、肩に鳥のフンのような白いシミがついていたと話した。

律(細田よしひこ)は、孝弘(渡辺いっけい)から、肩に死んだ2人と同じような白いシミがついていると指摘され、死ぬぞと脅される。その夜、律は、命を狙いにきたものとたたい、尾白(渡辺道子)という小さな白い羽のカラス天狗を捕まえた。孝弘の尋問に対し、尾白は、自分の住み家だった杉の木が切られたため、その首謀者の2人を成敗したと白状した。新しい住み家として飯嶋家にある桜の老木に目を付けた尾白は、トラブルの芽を先に摘もうと住んでいる人間の命を狙ったらしい。謝る尾白の言葉を信じた律は、家来になることを許した。

ところが、次の日の夜、律が再び鳥の妖魔に襲われた。最初、尾白に容疑が掛かるが、尾黒(湯澤幸一郎)という黒い羽のカラス天狗が真犯人と判明。尾白の住み家となった桜の木を占拠しに来た尾黒は、龍の青嵐に変身した孝弘に簡単にくわえられ、あっさりと負けを認めて謝った。

尾黒の話によると、以前、秋山家内にある別の杉の木に住んでいたが、主人の死後、夫人が神主にお払いを頼んだため、住む場所がなくなったとか。尾黒に頼まれた律は、秋山家を訪ねて家の結界を取り除き、妖魔が入りやすくした。だが、夫人がその木も切ると知った尾黒は、律との約束を破り、いきなり夫人に襲い掛かろうとした。

これを阻止した律と孝弘は、尾黒を縛り上げて――。

 

「約束の日」

2007年2月24日放送

ある日、飯嶋家の庭先から中年男性・有沢が伶をたずねてきた。

彼は「約束の日なんです。」という。10年前、律がまだ幼かったころ、日傘をさした女性・鈴子が同じように訪れてきて、「約束の日なんです。」といっていた記憶が思い出された。聞くと、有沢と鈴子は恋仲であったが、鈴子の母・聡子に邪魔されていた。ふたりを引き裂こうとした聡子は二人の元を訪れ「一人じゃ絶対帰らないから。」といって帰った。その帰りのバスで事故にあい、聡子は亡くなってしまった。

しかし、翌年の同じ日、再び聡子が現れた。そして、また「一人じゃ絶対帰らないから。」と捨てぜりふを吐いて帰ると、直後に隣の部屋の女性が突然なくなった。聡子は本当に一人では帰らなかったのだ。

怖くなった二人は伶のところに相談に行き、飯嶋家に住むことになった。
そこで、伶は聡子と鈴子を返すという内容の誓約書を交わし、その日が来たのだ。そして、ついに聡子が現れ…

 

「言霊の木」

2007年3月3日放送

ある日、司(酒井彩名)が、知らない男から預かったという1本の丸太を持ち帰った。孝弘(渡辺いっけい)は、霊気が立ち昇るその丸太には、死んだ人間の強い念が宿っているという。律(細田よしひこ)と孝弘が見つめるうち、その霊気は人の形となった。

律は、家の階段に現われた小さな泥人形に気付いた。泥人形は、例の霊気が未来の悪い事だけを語る占い師だと明かし、何を言われてもその言葉に決して惑わされてはいけないという。

ある日律は、その占い師が絹(いしのようこ)を指差し「この女の命はあと3日の内に尽きる」と予言したのが聞こえた。さらに司も、この言葉が聞こえてしまい衝撃を受ける。律は司に内容を決して口にせず、無視するよう告げる。しかし、絹の周りに妖魔がまとわり付くようになり、これを見た司は心配を募らせた。

司は、絹の周りでうごめくさらに多くの妖魔の群れに気付くが、司の不安や恐怖が妖魔を呼び寄せているらしい。律が振り払うと、それらの妖魔はどこかに消えてしまった。

そんな中、階段に泥人形がないと気付いて周囲を捜した律は、刀を構えた占い師が絹に斬りつけようとする所を目撃し、慌てて駆け寄った。だが、一瞬早く、占い師の刀は絹に食い込む。絹の着物からパキッという乾いた音が聞こえたとたん、中から泥人形の欠けらが砕け落ちて――。

 

「待つ人々」

2007年3月10日放送

降り出した雨が縁側を濡らす飯島家に、路線バスの運転手(中村靖日)だと言う男が現れた。1人で家にいた律(細田よしひこ)は、運転手にバスの異常のため、次のバスが来るまで乗客を雨宿りさせて欲しいと頼まれた。

律は、風邪で熱があったが、快くこれを受け入れた。すると、運転手と入れ替わりに、大柴(菊池均也)というサラリーマン風の男、黒崎(眞島秀和)というカラス便の宅配業者、女子大生風の吉川ルミ(小野真弓)という女のコが家の中に入ってきた。そして、3人の後を追うように、なぜか包帯だらけの人間を乗せた担架を担ぐ老人(谷津勲)と老婆(安田洋子)が上がりこんできた。

ルミは律に自分が三浪だと元気なく告白する。そんな中、家に帰ってきた孝弘(渡辺いっけい)から、少し前、荷物を確認しに行くと言って出て行った黒崎の正体を聞くことになる。なんと孝弘は、家の近くで起きたカラス便の宅配車の事故で、運転手が死亡したのを目撃したというのだ。黒崎はその宅配車の運転手だった。事故で即死したため、黒崎は自分が死んだとは気付かずに、幽霊となって飯島家にやって来たらしいのだ。

まもなく、庭に行ってロープがほどけないとつぶやいていた大柴が、死んだことに気付かない自殺者だったと判明。律に指摘されて、自分が死んだと悟った大柴は、火の玉となって昇天して行った。

ひとり残ったルミが興味を抱いたのは、自分と同じような指輪をしている担架に乗せられた包帯の死体だった。ルミが顔の包帯を取ると、中から出てきたのは自分の死体。どうやら、ルミも将来を悲観して自殺していたらしい。自分の死に気付いて驚き嘆くルミは、すぐに闇の中に姿を消し、同時に包帯死体も跡形もなく消えてしまった。

担架に乗せた死体がなくなって騒いだのは、老人と老婆だった。正体を現して鬼となった2人は、いきなり律に襲い掛かるが――。

 

「呪いの簪」

2007年3月17日放送

司(酒井彩名)に縁談が舞い込み、飯島家で、大和田義郎(やべけんじ)との見合いが行われることになった。司は、八重子(市毛良枝)から自分も見合いの時につけていたという、長沼という人から譲ってもらった飾り簪〈かんざし〉を付けて見合いをすることに。

和やかな雰囲気で見合いが終わった翌日。律(細田よしひこ)は、部屋の中に、妙な霊気が漂う獅子の置物が転がっていることに気付いた。八重子、絹(いしのようこ)、司は外出中。また、青嵐(渡辺いっけい)は、妖魔を食うため富士山に行っており、律は緊張を隠せない。

そんな折、長沼智恵(桜岡あつこ)という夫人が訪れ、いきなり例の簪を処分して欲しいと言う。知恵は、自分の祖母が八重子に渡した簪は呪われており、以前、簪を手に入れた母親は父親を殺してしまったらしいのだ。そして、部屋の隅に来ていた獅子の置物を見つけた智恵は、それが明治時代の同じ職人の作で、簪のある所に必ず付いてきてしまう、というのだ。

あるとき律は、デートの後大和田を連れて戻ってきた司に、明治風の女性の霊が憑いていることに気付いた。2人が部屋に入って程なく、叫び声に驚いて中に飛び込んだ律は、司に乗り移った女性の霊が、簪を握りしめて大和田に襲い掛かっているのを見つけて、大慌てで制止。この結果、司の縁談は、あっさり壊れてしまった。

律から事情を聞いた八重子は、自分には縁起が良かったという問題の簪の話を始めた。この簪は、明治時代の簪職人・伸一(綱島郷太郎)が愛し合った身分違いの娘・由美(蘭香レア)のために作ったもの。結局、伸一と由美は結ばれずに死に別れたらしいのだ。

その夜、司と2人だけで夕食を取ることになった律は、司に由美の霊が乗り移ったと知り、律は――。

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