#770 『水かぶり』(19/3/31 放送)
宮城県 登米市
毎年2月の初午の日に行われる奇祭。裸に藁を巻き付け、頭に藁の冠をかぶり、顔に炭をぬった男たちが神の使いに化身する。家の前に置かれている桶の水を家々に掛けながら、火伏せを祈願して歩いていく。神の使いがまとう藁を持ち帰り、家の屋根に上げると火難除けになるという。この日、登米市米川地区は賑やかな音が響いています。
■ DIRECTOR'S COMMENT
藁の擦れる音と奇声が飛び交い町が大騒ぎになる水かぶり。この神事の面白いところは神社や寺院が中心となっている行事ではなく、その地区にある「水かぶりの宿」と言われる家が中心になって歴史を重ねて来たところです。役所や教育委員でもなく、代々伝えて来たのはその宿主なのです。このような神事はあまり他では見られないのではないでしょうか。ちなみに「神の使い」がすべての藁を抜かれても神の使いでなくなる訳ではない、というのも面白いところ。その日の夕方から行われる「なおらい」の後に、徐々に神の使いではなくなるのだそうです。更に言うと藁を屋根に乗せねばいけないという決まりもないとか。一体誰が広めたのでしょう。ローカルに根付く祭りって本当に興味深いです。(村上宗義)
■ ACCESS
くりこま高原駅から米川地区まで車で約40分