#1031
『土佐のフラフ』(24/5/12 放送)
高知県 香美市
フラフの製作はすべて手描きで、1枚仕上げるのに1か月半ほどかかります。布は木綿と決まっており、90cmまたは110cm巾の布をつないで大きな1枚のキャンバスに仕立て、染料と顔料で鮮やかに染め上げます。フラフは「旗」を意味するオランダ語が語源と言われ、大漁旗をイメージしています。男児の健やかな成長を願ってこいのぼりと並んで立てられ、節句には近所の人々が手伝って柱を立て、皆で祝いの酒を飲むのが慣わしでした。香美市は物部川の恵みを生かした染物が盛んで、最盛期には十数軒が軒を並べていました。五月晴れの空に鮮やかなフラフがはためく光景は、土佐の勇壮な原風景となっています。
■ DIRECTOR'S COMMENT
今回撮影でお世話になったのは高知県香美市にある染物店まるさん三谷染工場さん。創業から120年以上続く老舗で、現在は4代目のご主人がその伝統を受け継いでいます。フラフやのぼりといった節句の商品は時代に合わせ、大きいものばかりでなくベランダや室内に飾ることができるミニサイズも取り扱っているそうです。図柄は豊臣秀吉や山内一豊などの甲冑武者、金太郎や桃太郎、宝船の七福神などから選べますが人気なのは勇ましい武者絵なんだとか。女の子用に桃の節句バージョンのお雛様フラフ、さらにフラフの図柄を染めたTシャツやトートバックなどもあるそうです。時代やお客に合わせて進化し続ける老舗パワーに脱帽でした。(千葉朋寛)
■ ACCESS
「高知空港」から「三谷染工場」まで車で約20分