墨田区 両国国技館
年に6回開催される本場所や、たった1日の巡業であっても土俵は会場ごとに土を運んでつくられています。神さまを降ろす神聖な場として、また安全に競技が行えるように都度新しくされおり、場所開催前に45名ほどの呼出さん(取り組み前に力士の名前を呼び上げたり、土俵の上を掃き清めたりする相撲興行の専門職)が総出で、およそ3日間かけてつくり上げます。土俵をつくる際には機械は一切使用せず、すべて人力で行います。トラックで運び込まれた土を台車で運び、盛り上げて専用の道具で叩いて固めます。そこへ、五寸釘や縄をコンパスのように使って円を描き、土を削り、俵を埋め込み、再度土を叩いて滑らかに整えて完成させます。

■ DIRECTOR'S COMMENT
子どもの頃から大相撲を見て来たのですが、その土俵を作っているのが呼出さんであることを知りませんでした。更には毎回作り直している事や、本場所前に土俵祭が行われていたこと、土俵の真ん中に鎮め物という捧げ物が埋められ、神様を降ろしている事、その多くのことを全く知りませんでした。本場所を迎えるまでの土俵作りの一つ一つの手間を見ながら、土俵の美しさに賞嘆し、相撲はスポーツではなく神事なのだと改めて気付かされました。ところで、本当に感心したのが、皆さんが昔ながらの道具を使ってそれぞれに叩き、固め続けるのに、表面がいつの間にか凹凸なく綺麗に真っ平になったところです。まさに職人芸、そしてチームワークなのだと驚きました。番組最後の土俵祭で柏手を打っていたのは38代木村庄之助さん。国技館に響き渡る庄之助さんの祝詞は本当に美しく(この秋場所で引退されたのですが)これが最後の祝詞なのだと思うととても勿体なく思いました。その土俵祭は一般の方も無料でご覧になれます、機会がありましたら是非観覧してみてください。そして土俵とは、相撲とは、とご一考頂けたら相撲という日本の伝統が長く続いていくように思います。嫌な顔一つせず撮影にご協力頂いた呼出の皆様、相撲協会の皆様、本当にありがとうございました。改めて大相撲ファンになりました。(村上宗義)
■ ACCESS
「JR両国駅」から「両国国技館」まで徒歩約1分