基本的にはオーボエが最初「ラ」の音を出してチューニングを始めます。それをコンサートマスターがもらって楽器をそのピッチに合うように調弦し、そこから管楽器へ/弦楽器へ と音を渡していきます。管楽器を先に合わせるか、弦楽器が先か、同時かはオーケストラによって違います。またピアノ・コンチェルトなどの時は、コンサートマスターがピアノの「ラ」の音を叩いて、そこからピッチ(音程)をもらい、全員が合わせていきます。
なぜならオーケストラの楽器は、その場で音程が微調整できますが、ピアノはできないからです。
チューニングの音の高さには時代の流行がありますが、現在は、A-442Hzが世界標準です。
ほぼ世界的にコンサートマスターはヴァイオリニストです。第一ヴァイオリンのリーダーであり、楽団全体のリーダーとなります。(例外もあります)
指揮者の意向を演奏に反映して楽団員全員に伝えたり、出だしを揃えたりするのもコンサートマスターの役割です。ソロも弾けば指揮者の代わりもし、指揮者に対してオーケストラ側の音楽的なことをまとめて意見をやり取りしたりもします。
■ステージマネージャー
オーケストラやアンサンブルが演奏するには、舞台のセッティングが必要です。そのすべてを司るのがステージマネージャー。楽団専属のステージマネージャーは、ホールやリハーサル会場の響きや、演奏楽曲、編成など全ての要素を頭に入れ、同時にどのようなバランスで客席に音が届くのか計算しながらセッティングします。プレイヤーが演奏しやすい照明の管理もします。椅子や譜面台、楽器は、漫然と運び並べているのではなく、経験に基づく勘とセンスで音を造る職能です。オーケストラだけではなく、ホールによっては専属のステージマネージャーがいて、演奏者と一体となって舞台とコンサートを作っています。そして一番、早く会場に入り、最も遅くまで会場にいる存在です。舞台袖からステージへ演奏者を送りだし出迎え、アンコールのタイミングまで、見守りサポートするのも彼らの仕事です。とても重要な役割です。■ライブラリアン
オーケストラが演奏するには楽譜が必要です。プロ奏者の楽譜はパート譜に至るまですべて楽団が用意します。リハーサルやそれ以前から楽譜を準備して漏れがないように揃えるのがライブラリアンです。――指揮者やソリストが指定する楽譜(エディション=どの版を使うかなども含めて)を世界中から探して入手、プレイヤーが演奏しやすいよう整えるための時間と努力は並大抵のものではありません。
また、演奏会が終わってプレイヤーが書き込みをした楽譜も楽団にとっては貴重で、長い間積み重ねていく財産なのです。これらを管理するライブラリアンは、オーケストラの頭脳集団でもあります。
服装を尋ねられることが多いですが、人が見て不愉快になる服装でなければ別段何でもいい、というのが通常の場合です。
ドレスアップしてオシャレしていってもいいし、ジーンズにラフな上着でキメてもいいと思います。演奏会やコンサートホールにもよるのですが、ドレスアップしている人も多いので、気持ちが引き立つ楽しさはあります。心配な人は男性ならスーツを着ていけば安心でしょうし、女性ならワンピースやパンツスーツでも良いと思います。普段の服装に例えばスカーフやアクセサリーでちょっと工夫すると良いかもしれませんね。最近は(男女ともに)和装の人もよく見かけます。
演奏のマナーは、客席で飲食しない、演奏中(舞台に人が並んだら音を出していなくてももう上演中です)に音を出さない・おしゃべりしない。拍手は、心のままにすればよいと思いますが、音がなくなっても余韻はあるので、心配なら周りの人に合わせるのが良いでしょうね。感動したらいくらでも叩いてOKです。
オーケストラの楽器の並び方には決まりがあります。舞台の前の方=お客さんに近い方に弦楽器群がいて、真ん中より後ろの段の上に管楽器群が楽器ごとに並びます。打楽器は一番後ろです。打楽器が多い時はオーケストラを囲むように配置されることもあります。指揮者を中央に左手(下手)が第1ヴァイオリン、というのは決まっていますが、児玉交響楽団は比較的オーソドックスな配置ですが、オーケストラによって指揮者の右手(上手)にいるチェロとヴィオラの位置は中/外が逆の場合もあります。曲によって変えることもあります。コントラバスはその後ろに並びます。古い演奏スタイルのときは対向配置といってヴァイオリンの1と2が向かい合わせに配置されることもありますが、そのときはコントラバスも下手奥に移動します。
第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンと違った役割を持つ2パートがあるので、他の弦楽器群よりたくさんいます。それだけでなく、低いパートに行くほど人数は少なくなります。例えば第1ヴァイオリン:12人、第2ヴァイオリン:10人、ヴィオラ:8人、チェロ:6人、コントラバス:4人という具合です。これは「二管編成」という大きさの場合ですが、このとき金管楽器は2〜3人ずつ、木管楽器は各2人となります。
指揮者というのは難しい職業です。前へ立って拍どおりにタクト(指揮棒や腕)を振っているなら誰でもできますが、オーケストラはその「指揮」に合わせて演奏をするので、「誰が前に立つか」によって演奏は大きく変わります。……「合わせて」というのは正確ではありません。棒の先に合わせているわけではなく、みんなは「指揮者の示す音楽」を作っていくのです。指揮者はオーケストラの音楽を導く大事な役目を持っています。
クラシック音楽のコンサートでは「誰が指揮者か」でチケットの売れ行きがまったく違ったりもします。素晴らしい&人気のある指揮者ではすごい演奏が聴けることがあり、聴衆はそれを期待してチケットを買います。指揮者によって驚くほど音が変わります。
では、どうしようもない指揮者が来た時はどうするか?……オーケストラはお客さんにお金を貰って演奏しているプロですから、コンサートマスターを核に「一丸となって」自主的に音楽をまとめあげ、良い演奏を作り上げることもあります。誰も言いませんがこのような例もかなりあります。
プロのオーケストラに入るためには必ずオーディションを受けなければなりません。特別契約でどこかから招いた弦楽器の首席奏者やコンサートマスターの一部以外は、必ず受けます。(コンサートマスターや首席奏者も公募でオーディション採用の場合がほとんどです。)
審査するのは将来的に同僚になる(かもしれない)楽団員の代表と、楽団責任者で、指揮者が入る場合もあります。
彼らが聴いているのは、その人が「上手い(=技術的なレベルに達している)かどうか」もですが、最も気を配るのは「自分のオーケストラ(の音に、音楽に)に合っているか」ということです。どんなに上手くてもアンサンブルが不得意だったり、音があまりに合わなそうだったりすると採用されません。1名募集に何十人も受けに来て、1人も受からなかった、というケースもたくさんあります。
オーディションに通るとたいていの場合は「試用期間」が設けられ、さらに「一緒に演奏していける仲間になれるか」を試されることもあります。
オーケストラの音楽を司る役割を持ちます。演奏するのは奏者たちですが、同じ曲でも音楽の解釈・方向性を決め、それに導くのは指揮者の役割です。指揮者はそれを言葉だけでなく、右手の指揮(バトンテクニック)や表情、左手の動き、その他あらゆる表現で奏者たちに伝えて音楽に変換します。
右手に指揮棒を持つ指揮者と持たない指揮者がいます。
楽団の固有の音やキャラクターと、有能な指揮者が出会った時に、その瞬間にしか作れない音楽とドラマが生まれるのです。
オーケストラの奏者たちのまとめ役。指揮者の意図を音楽に反映するためのリーダー。
第1ヴァイオリンの首席奏者(客席から見ると、指揮者の左側最前列)が務める。
オーケストラとは、指揮者と多くの楽器とが一体になって演奏すること、またその演奏団体のこと。ヴァイオリンなどの弦楽器、フルートやオーボエなどの木管楽器、トランペットなどの金管楽器、打楽器など、たくさんの楽器で編成される。小編成の40人ぐらいから大編成で120人を超えることもあり、通常は60〜100人前後。
現在のような形でオーケストラが演奏されるようになったのは、18世紀半ばから。そして大編成のオーケストラが確立したのは、19世紀後半です。
ベートーヴェンやモーツァルトなど、クラシックの作曲家は必ずオーケストラで演奏される「交響曲」や「管弦楽曲」を書いています。
ちなみに日本のオーケストラとは…
日本には「日本オーケストラ連盟」に登録されているプロオーケストラが37(定期演奏会の回数や給与などの規定を満たす楽団)ありますが、このほかにもプロの演奏家によるオーケストラは数多くあります。
また日本ではアマチュアのオーケストラ活動も盛んで、一説によると全国で1,500近いオーケストラがあるといわれています。
監修:弦楽器専門誌『サラサーテ』 Amane Ito