第100回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。2年ぶり4回目の全国出場、岡山県代表の岡山学芸館は29日に羽黒(山形)と激突。歴代の岡山県代表は、全国でどんな戦いを繰り広げてきたのか。過去の成績を振り返ります。
■県勢最高成績 第85回大会準優勝の作陽
歴代の岡山県代表校の中で、全国最高成績は第85回大会の岡山県作陽の準優勝です。
野村雅之監督(当時)率いる作陽は、初戦で久留米(東京A)を2-1で下すと、2回戦では一条(奈良)相手に4-0と圧勝します。激戦となったのは3回戦の室蘭大谷(北海道)戦。作陽は10本、室蘭大谷は7本のシュートを放つものの、80分でともに得点は生まれずPK戦へ。最後は5人目の作陽・村井匠選手(当時3年)が決めて3回戦を突破しました。準々決勝は、名門・静岡学園(静岡)相手に3-2、準決勝は伝統校・神村学園(鹿児島)を1-0で破り、県勢初の決勝へ駒を進めます。
決勝の相手は、盛岡商(岩手)。前半は両チームゴールを奪えずスコアレスで折り返します。後半、先制したのは作陽でした。56分、村井選手がゴール前で反転して放ったシュートはクロスバーを叩きますが、跳ね返ったボールを桑元剛選手(当時3年)が頭で押し込みます。しかし、71分に同点に追いつかれ、さらに85分には左サイドを突破され勝ち越しゴールを許し、試合終了。惜しくも敗れましたが、県勢初の準優勝に輝きました。
■準優勝時の10番の今
第85回大会で背番号10番を背負い、ボランチでプレーしたのが酒井貴政選手(当時3年)。副主将も務め、チームの中心メンバーでした。高校卒業後は高知大学に進学したのち、カターレ富山などでもプレー。現役引退後はファジアーノ岡山U-15の監督を務め、2017年に作陽の監督に就任。学校初のOB監督となりました。
就任1年目の第96回大会で監督として選手権初出場を果たし初戦突破。それ以来の出場となった前回大会では、初戦でPK戦の末、星稜(石川)を下しましたが、2回戦では東福岡(福岡)の前に、試合終了間際の失点で涙をのみました。
選手としても指導者としても、選手権のピッチに立った酒井監督。選手には度々「結果と成長を求めよ」と口にすると言います。「国立に行けたか行けなかったか、それが今後の人生に大きく影響すると思う。自分も国立に行けていなかったら、プロになれていないかもしれないし、指導者という今の仕事をしていないかもしれない。そんな人生を変える場所を、子どもたちに味わってもらいたい」。
今大会は県予選決勝で敗れ2年連続の選手権出場は叶わなかったものの、県内最多25回の出場を誇る伝統校。その未来は、県勢初の準優勝に導いた当時の10番に託されました。「歴史をつないでいかなくてはいけない。選手たちと一緒に成長して、新しい作陽を作っていきたい」――選手に求める「結果と成長」。それは、若き指揮官が自分自身に求めている言葉のようにも聞こえました。
※写真は岡山県作陽高校・酒井貴政監督
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/西日本放送)
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