2021年12月28日に開幕した第100回全国高校サッカー選手権。奈良県代表の奈良育英は12月29日に岩手県代表の専大北上と、12月31日に大阪府代表の阪南大高と対戦しました。10年ぶりの全国の舞台。奈良育英の戦いを振り返ります。
■10年ぶりの舞台 チーム育英で掴んだ1勝
奈良育英は専大北上との1回戦。ロングボールからのチャンスをうかがう専大北上に対し、FWにボールを回し起点を作り、サイド攻撃を狙った奈良育英。両チームとも、中盤でのボールの奪い合いが続きましたが、前半8分、奈良育英がFKのこぼれ球を押し込み先制点をあげました。その後、専大北上が同点のゴールをあげ1-1で前半を折り返します。
後半立ち上がりに専大北上が勝ち越しに成功。一方の奈良育英は後半開始から選手2人を交代し、チームの活性化を図ります。すると失点から立て続けに得点を奪い、流れを引き寄せました。その後も、攻守の切り替えの早さで主導権を握り、4-2で見事初戦勝利を飾りました。
■近畿勢対決の2回戦 全員攻撃・全員守備で強敵に挑む
近畿対決となった2回戦。相手はエース鈴木選手を擁する阪南大高。奈良育英は初戦から先発メンバー5人を入れ替えて挑みました。前半立ち上がりは、奈良育英がプレスを強めボールを奪うと、相手ゴールへ素早くボールを送り込み流れを作ろうとします。しかし、阪南大高の安定した守備に阻まれ、流れを引き寄せることができません。流れるような速さでボールを展開する阪南大高に押し込まれる展開が続き、5得点を許し前半を終えます。
後半から、奈良育英は選手交代を積極的に行い挽回を試みますが、阪南大高は主導権を渡さず奈良育英の守備の背後をつき、多くのチャンスをつくり出します。後半も攻撃の手を緩めない阪南大高がさらに追加点をあげ奈良育英を下しました。
梶村卓監督は「試合の入りは想像以上に相手にプレッシャーをかける良い展開を作り出してくれた。しかし、質の部分で相手の方が上手だったが、全員で声を出し1点でも取りに行く、やり切る姿勢を見せてくれた。出場して終わるのではなく、やるべきことをやれば、結果はついてくるということをこの1勝で示すことができたと思うので、大きな1勝だったと思います」と今大会を振り返りました。
■全国大会を戦い抜いて
いつも冷静にチームの先頭に立ってきたキャプテンの千田陽介選手は、「自分たちのやりたいことができなかった。でも、チームで声を出して戦い、2回戦は特に全員で戦う姿勢を見せられたと思います」と振り返りました。
■未来の奈良育英へ
「伝統校復活へ」この言葉を全国の舞台で示してみせた梶村監督。「今回、まだまだ全国レベルではないと実感した。この試合だけでなく、これまでの練習から振り返り次に繋げていきたい。次は全国で2勝するという目標ができた。これは次に繋がる大きな目標だと思う」と今後の展望について語りました。
自身のサッカーの集大成と臨んだ千田選手は「奈良育英サッカー部に入り、監督の指導を受け、私生活から意識して変わることができた。人生の中で大きな経験をさせてもらった。最後までついてきてくれた仲間には本当に感謝しかない。そして、奈良育英サッカーの伝統がこれからも続いていってほしい」とサッカー部の未来への希望を語ってくれました。
100回大会の節目の年に、10年ぶりに全国の舞台へと帰ってきた奈良育英。監督をはじめ、コーチ、保護者、サッカー部OB。多くの人がその挑戦を見守りました。「全員攻撃・全員守備」で最後のホイッスルが鳴るまで全力でゴールを目指し、戦い抜いた奈良育英。新たな歴史の一歩を踏み出しました。
※写真はキャプテン・千田陽介選手
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/奈良テレビ放送)
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