第100回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。一回戦で、広島代表の瀬戸内は29日に尚志(福島)と対戦します。広島県勢は過去優勝9回と、都道府県別で見ても4番目に多い優勝回数を誇ります。広島県代表の選手権大会での軌跡を辿ります。
■サッカー御三家・広島
第18回大会(1936年度)で広島一中(現・国泰寺)が県勢初の全国優勝を果たしました。その後は戦争による大会中止もあったなか、戦後最初の全国大会では広島高等師範付属中学(現・広大付属)が優勝し、戦後復興を目指す広島の大きな希望となります。昭和中期にかけても修道や山陽が全国の頂に立つなど、関西で開催された58年間で広島勢は8度の優勝に輝き、静岡・埼玉と並び「サッカー御三家」と呼ばれました。
■87回大会優勝・広島皆実
広島皆実は87回大会で県勢41年ぶりの決勝へ進みました。決勝戦の相手は、大会最多ゴール数に並んでいた大迫勇也選手を擁する鹿児島県代表の鹿児島城西高校です。試合は大迫選手が1大会最多得点記録を更新する先制ゴールを挙げるも、広島皆実は伝統の「堅守強攻」で応戦。両チームが点を取り合う展開となりました。決勝点が生まれたのは2-2で迎えた後半21分、広島皆実は金島悠太選手がゴールを決め、3-2で優勝を果たしました(第46回大会で両校優勝の山陽以来、県勢9回目の優勝)。
■97回大会ベスト4・瀬戸内
今大会、広島代表で出場する瀬戸内は97回大会で初出場を果たしました。それまでは6度、県決勝に出場していましたが、すべて広島皆実に敗れ準優勝に終わっていました。その「皆実の壁」を乗り越えて掴んだ初出場。瀬戸内は2回戦で都市大塩尻(長野)、3回戦で岡山学芸館(岡山)、準々決勝で日本航空(山梨)に勝利し、初出場ながら準決勝に進みました。準決勝では流通経済大柏(千葉)に0-5で敗れるも、築いてきた「パスサッカー」を大会の中で表現し続け、全国に「瀬戸内高校」のサッカーを届けました。
今年の3年生は、当時中学3年生で「瀬戸内高校のパスサッカー」に憧れて入学した選手もいます。田中健二郎監督は「今の瀬戸内のサッカーのベースは、あそこ(97回大会)がスタートライン。(これからも)うちでサッカーをやりたいと思ってもらえるように、瀬戸内と言えば『これだ』というサッカーを突き詰めたい」と話しました。今年は新たにポジショナルプレー(選手のポジショニングでスペースを作る動き)を取り入れ、パスサッカーを進化させた瀬戸内。今大会でも全国で瀬戸内旋風を巻き起こすことができるか、期待がかかります。
※写真
左)97回大会ベスト4「瀬戸内」選手宣誓を務めた主将・佐々木達也選手
右)87回大会優勝「広島皆実」歓喜に沸くイレブン
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/広島テレビ)
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