第100回全国高校サッカー選手権は、12月28日に開幕します。1回戦で、滋賀県代表の草津東は、29日に前橋育英(群馬)と対戦。今大会出場する草津東を含め、歴代の滋賀県代表の全国での戦いは、異なる県立高校が歴史を作り、最後は、全国優勝という形で花開きました。今回は、首都圏開催となった55回大会以降に注目し、滋賀県代表の成績を振り返ります。
■守山・守山北と異なる高校を全国3位に導く
滋賀のサッカーどころのひとつとして知られる守山市。その守山市には、守山・守山北と2校の県立高校がありますが、守山は61回大会で、守山北は73回大会でそれぞれ、全国3位の成績を残しました。
両校を全国3位に導いた当時の監督が、現在は滋賀県サッカー協会の名誉会長も務める松田保さんです。松田さんは、「滋賀のサッカー界が積み重ねてきた伝統の上に守山・守山北の3位がある」と、今でも先人たちへのリスペクトを忘れず、当時を振り返ります。
■草津東が見せた「夢まであと一歩」
79回大会では、県立高校の草津東が準優勝し、それまでの滋賀県勢の最高成績に並ぶ結果を残しました。準優勝監督となった小林茂樹さんは、「国立の芝は、1本1本の芝にカールをかけているのか?と思うくらいフワフワの芝で、素晴らしいピッチだった」と、国立競技場の思い出を今でも、うれしそうに話します。ただ同時に、「決勝に行ったことで達成感を感じてしまったかな」と、当時の反省、悔しさも口にします。
そんな小林さんは現在、草津東の総監督を務めていて、この100回大会でも、“あと一歩で叶えられなかった夢”を追いかける立場でもあります。
■野洲「セクシーフットボール」でついに花開く
観客を魅了するドリブル・ショートパスの連続。「セクシーフットボール」の代名詞と共に、県立高校の野洲が、ついに、84回大会で滋賀県勢初の選手権全国優勝を成し遂げました。
「高校サッカー史上最も美しい」と称される決勝戦・鹿児島実業との試合で生まれた延長後半7分のゴール。乾貴士選手のヒールパスなど「一瞬の閃きか」と思わせるプレーに目を奪われがちですが、優勝監督・山本佳司さんは、「『あの選手ならここにいる』と、努力で培ってきた連係、信頼から生まれたゴール」だと話します。
実は、この全国優勝の代であっても、滋賀県大会で野洲は、準決勝で草津東と延長までもつれ込む大激闘を演じるなど、県立高校のライバル同士がしのぎを削っていた時代でもあります。全国優勝は、滋賀・高校サッカー界のこれまでの積み重ねが、花開いた瞬間でもありました。
■「育成王国 滋賀の復活を!」
100回大会を迎えるにあたって、前述の滋賀県サッカー協会名誉会長の松田さんに、話を聞きました。松田さんは、「歴史から学び新しいものを作り上げていく。そして育成王国と呼ばれた滋賀の復活を!」と、力を込めます。
選手権の舞台で輝きを見せてきた滋賀県勢。ただ、野洲の全国優勝以降は、3回戦進出が選手権全国大会での滋賀県勢の最高成績です。滋賀も時代が変わり、近年では私立勢も頭角を現す群雄割拠の時代となりました。
滋賀の代表校が全国の舞台で再び輝きを見せ、高校サッカーを目指す子どもたちにとっても憧れの存在となることができるか。「育成王国 滋賀の復活」に向け、100回大会の草津東の活躍にも大きな期待がかかります。
※写真
左上:61回大会・守山
右上:73回大会・守山北
左下:79回大会・草津東
右下:84回大会・野洲
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/びわ湖放送)
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