第100回全国高校サッカー選手権。佐賀県代表・佐賀東高校は3回戦で熊本県代表・大津高校と対戦。1-3で敗れました。試合を振り返り未来を展望します。
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前回王者の山梨県代表・山梨学院高校を破った佐賀東。学校史上初のベスト8をかけて臨んだ3回戦の相手は、2回戦で福岡県代表・東福岡高校に快勝した大津。今年度のチームでは初対戦という九州勢対決となりました。
試合は序盤から大津が長短のパスやサイドのドリブルで、佐賀東陣内でプレーする展開。それに対して佐賀東はコンパクトな陣形を保ちながら、大津の猛攻を粘り強い守備で耐えしのぎます。試合が動いたのは、前半28分。大津が左サイドからのクロスを9番・小林俊瑛選手(2年)が収めて反転しながら右足を振り抜きゴール、佐賀東は先制を許します。その後も大津が試合をコントロールしますが、佐賀東も追加点を許さず前半を終えます。
「前半の0対1は許容範囲だった」と振り返った佐賀東キャプテンの8番・森田悠斗選手(3年)。「自陣で回すことが多かったので、ハイプレスをかけよう」と後半に向かいます。後半10分。佐賀東は11番・川原一太選手(3年)に代えて24番・江口恭平選手(1年)がボランチへ、ボランチだった10番・吉田陣平選手(3年)が左サイドに、左サイドの7番・中山琉稀選手(3年)が右サイドに、右サイドの8番・森田選手が2トップの一角に入るという、県大会決勝でも見せたポジション変更。
「吉田を左サイドに入れることで推進力が上がり、そこからチャンスをつくって真ん中の森田や、右サイドの中山がシュート決めてくれれば」という佐賀東・蒲原晶昭監督の狙いは奏功し、左サイドからの攻撃で大津のゴールに迫る場面が増えます。
しかし、後半27分。大津にCKから追加点を許し、0対2。追いかける佐賀東は後半31分。FKからのこぼれ球を8番・森田選手が押し込み、1対2。佐賀東の思いが詰まったゴールで、大津は今大会初失点となりました。森田選手は「足を投げ出して決めることができて良かった。自分が決めたことでチームに勢いがついて、前に前にという声もベンチから飛ぶようになった」と振り返りました。
残り9分とアディショナルタイムで何とか同点へと走り続けた佐賀東。しかし、アディショナルタイムに大津に追加点を許し、1対3となって試合終了。佐賀東の新たな歴史をつくる挑戦は3回戦で幕を閉じ、100回大会で学校史上初のベスト8とはなりませんでした。試合終了後、悔し涙を流した選手たち。ただ、悔しさの中にも戦い抜いた、やり切ったという清々しさもありました。
試合後、蒲原監督は「選手たちはよく頑張ってくれた。経験値ある素晴らしいチーム相手に粘って得点させず、よく頑張った」と選手たちをねぎらいました。そして、節目の100回大会について「参加させてもらって感謝。いろいろな成長が今回もあった。ずっと続いていく大会であってほしい」と選手権への感謝を述べました。また、「ベスト8はできなかったですが、今後、この壁を乗り越えるにはどうしたらいいか。1年で戻ってきて、ベスト8以上にチャレンジしていく」と力強く話していました。
113人の部員をまとめた森田主将は「1年間で一番いいゲームができた。佐賀東らしさを出して点を取れた。強いと言われている相手に、チャレンジャー精神で、チームみんなで走ることができた。悔いなく楽しくサッカーができた」と清々しい表情で振り返りました。今年度のチームについても「個性が強くみんなが主役になろうというチームだった。まとめるのは大変だったが、それぞれの個性を生かして、いいチームになれた」と話しました。そして「自分はプロを目指しているので、この経験をまずは大学で生かしていきたい」という森田主将は、自身の次なる目標へと進んでいきます。
前回王者・山梨学院に無失点勝利し、DF陣の活躍も光った今大会。節目の大舞台で、自信を持って佐賀東らしいポゼッションサッカーを展開した選手たちの姿は、九州をはじめ全国の子どもたちの心にも届いたはずです。学校史上初のベスト8という目標は、次の代へと託されました。今大会の経験と悔しさを明日へ、そして未来へと繋げる後輩たち。佐賀東の新たな挑戦が始まります。
※写真は、後半31分、ゴールを決め喜ぶ佐賀東8番・森田悠斗主将
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/福岡放送)
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