第100回全国高校サッカー選手権大会。広島県代表・瀬戸内高校は1回戦で福島県代表・尚志高校と対戦しました。チェイス アンリ選手(3年)を擁する尚志高校を相手に瀬戸内高校も一歩も引かない試合を展開しましたが、PK戦の末に惜しくも敗れました。試合を振り返ります。
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前半から瀬戸内は今年取り入れた「ポジショナルプレー(選手のポジション取りでスペースを作る動き)」でボールを繋ぎながら、梁俊虎選手(3年)、伯野航太選手(3年)を中心に左サイドから積極的に攻撃を仕掛けチャンスを作ります。対する尚志高校は22歳以下日本代表のチェイス アンリ選手を中心とした堅い守りでゴールを割らせず、両チームともに無得点で後半に入ります。
後半になると尚志が選手交代で流れを作り瀬戸内ゴールに何度も迫りますが、瀬戸内のゴールキーパー大木泰季選手(2年)がファインセーブでピンチを救い、試合は0対0でPK戦へ。しかし、PK戦で惜しくも敗れた瀬戸内。選手は涙をこらえることができませんでした。
試合後、瀬戸内の田中健二郎監督は、「自分たちのサッカーが出せた部分もあったけど、出せなかった部分が多かった。でも、(選手は)思い切って楽しんでくれたと思う。1日でも長くやりたかったけど、1年間楽しませてくれた選手たちに感謝です」と話しました。キャプテンの梁選手は「3年間の最後に手応えのあるサッカーができたのはうれしいけど、3年間支えてくれた保護者やチームメート、指導者に結果で恩返しがしたかった」と悔しさを口にしました。それでも今の選手にとっては初の選手権の舞台。梁選手は「会場の雰囲気、観客の数、幼い頃から憧れていた舞台なのでピッチに立つことができてうれしく、そして楽しかった。いろんな方の尽力があっての大会だったので感謝しています」と話しました。
記念の100回大会に広島県代表として出場した瀬戸内高校。田中監督は大会前「広島県の代表は与えられた使命がある」と話していました。広島県勢はこれまで全国優勝が9回を数え、かつては「静岡・埼玉・広島」の「サッカー御三家」と呼ばれた時代がありました。ただ55回大会の首都圏開催以降、優勝したのは87回大会の広島皆実高校のみ。「結果を残すことで『あの学校でサッカーをやりたい』と子どもたちが思ってくれる。一過性ではなく、そのような土壌を何十年もかけて作ることで広島のサッカーが盛り上がっていく、その一端を担っていきたい」と話していた田中監督。惜しくも1回戦で敗れましたが、梁選手は「この悔しさをバネに頑張ってほしい」と後輩にエールを送りました。「サッカー王国・広島」の復活…先人たちの思いを受け継ぎ、節目の100回大会を戦い抜いた瀬戸内が未来へ思いを繋ぎます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/広島テレビ)
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