第101回全国高校サッカー選手権は、12月28日に開幕します。初戦となる31日・2回戦で、滋賀県代表の近江は、昌平(埼玉)と対戦。全国で強豪校を倒し『インパクトを残す』ことを目標に掲げる近江の特長、そしてチームを支えてきた選手を紹介します。
■確かな技術に加え『ハードワーク』と『泥くささ』も武器に
学校の強化指定クラブとなってまだ7年目という近江高校サッカー部ですが、歴代のチームが武器としてきたのが、技術の高さです。ドリブル、ショートパスを織り交ぜ、相手ディフェンスを崩すサッカーは今年も健在で、県大会ではいずれの試合も、高いボール支配率を誇りました。
そこに加え、岡田涼吾主将(3年)が、今年の代の武器と常に言い続けてきたのが、『ハードワーク』と『泥くささ』です。ボールを奪われたらすぐに奪い返そうという姿勢、チームのための献身的な守備もまた、どの試合でも光りました。
■チームを陰から支えてきた副主将・野村仁人(3年)
そんな献身的なチームの象徴の1つが、副主将の野村仁人選手(3年)です。控えGKでもある野村選手は、誰よりもベンチから声を張り上げ、GKコーチの大出一平さんと共に、戦術的な指示も送ってきました。『3年生がつくり上げるチームの一体感』は、前田高孝監督が称賛する、今年のチームの良さでもあります。
選手である以上、試合に出たいという思いは当然、野村選手にもあります。「それでもなぜ、野村君はじめ3年生たちは、あれだけの熱量で応援できるのか?」と、聞いたことがあります。野村選手は、「ピッチにいる全員が、人間性も優れ技術も高い選手たち。そんな選手たちが出ていたら、応援したくなるのは普通じゃないですか」と、誇らしげに話してくれました。
そんな、野村選手に滋賀県大会決勝で、思わぬ形で出場機会が巡ってきます。正GKの小島元輝選手がレッドカードによる退場、後を託されたのは野村選手でした。後に小島選手は、「野村ほど、チームに身を捧げられる選手は他にはいません。自信を持ってピッチに送り出せる選手です」と、話してくれました。
結果、10人という苦しい時間帯もしのぎ切り、2大会ぶり2回目の全国大会出場を決めた近江。試合終了の瞬間、前田監督は野村選手を抱きしめ、その頑張りを称えました。
華麗なテクニックが注目されがちな近江ですが、根底にあるのは『チームのために』という熱い想いと信頼関係。仲間たちと共に全国の強豪に挑み、近江の名を轟かせます。
※写真は滋賀県大会優勝の瞬間 涙の近江・野村仁人副主将(3年)を前田高孝監督が称えた
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/びわ湖放送)
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